卒業式
昨年、オークランド大学のGraduate Diploma in Translation Studiesを修了して、その卒業式が5月3日に開催されたので、参加してきました。人生最初で、最後(たぶん)のNZ式卒業式です。
昨年11月に修了して、仕事に戻ってから半年たってしまっているので、去年の今ごろは大学で授業を受け、Assignmentでうんうん言っていたのということが、はるか遠い幻のように思われます。なんでも、昔、卒業証書が手書きだったころに卒業式の開催までに時間がかかっていた名残で、今でも半年遅れで卒業式を開催するしきたりになっている、と聞いたことがありますが、ほんとかな。ちなみにNZには日本の入学式に当たる儀式、というものは存在しません。
卒業式はまず、式に出席することをメールで意思表示して、家族や友人のための入場チケットを入手しなければなりません。日本のように、卒業生が自動的に出席すると見なされることはないのです。また、私が大学を卒業した20年前の日本では、大学の卒業式に家族の参加はあまりなかったような気がするのですが、こちらでは両親や兄弟はもちろん、私のように配偶者や子供に出席してもらうことは、喜びを共有する、ということでごく普通のことです。出席したくない人(次のマスターやドクターの時でいいや、という人も結構多い)、または卒業してから半年たってしまっているので、出席できない人(海外に働きに出る人も非常に多い)は、卒業証書を式典後に受け取ることになります。
さて、卒業式の準備は前日から始まります。予約しておいた貸衣装屋さんで式服(Regalia)を借りてきます。基本の真っ黒のガウンに加えて、学部、取得した学位などによってきめ細かく指定された色がついたフードや飾りを入手します。ちなみに私が所属していたArts(文学部)はピンクです。このRegaliaは、卒業式に参加する人は必ず着用しないとなりません。ガウンの中の服装は自由ですが。
そしていよいよ当日。この日に卒業式を迎える学生たちが9:00に集合場所に集まり、9:30からパレード開始。ただし、パレードに参加するかしないかは自由です。私は雨が降っていたらやめようと思っていたのですが、幸い、曇りだったので、参加しました。
バグパイプ隊が先頭ですが、私の順番は最後の方だったで、音楽はまったく聞こえず、ただ行列に混じっててくてくと歩くだけでした。
このあと、文学部は11:00からReceptionということで、立食パーティーがありました。仕事を抜け出してくれた夫と学校を休んだ娘にも付き合ってもらいました。パーティーといっても、開会の辞とか、乾杯とか、来賓ごあいさつ、などは一切なく、適当に始まって、途中で学部のえらい人のあいさつがちょっとあって、あとは適当に解散、というNZの典型的なスタイルのもの。スパークリングワインがあったので、昼間っから飲んでしまいました。おいしかったです。
会場はぎっしりで、暑いぐらいでした。分厚い式服を着ているので、汗が出てきたほど。
そして13:30からアオテアホールという大きなホールでのセレモニー。このセレモニーは、文学部の学士、修士、博士、Diploma取得者のうち、Last NameがアルファベットのMまでの学生が対象でした。パイプオルガンの壮麗な演奏の下、学生たちが粛々と入場していきます。学長のあいさつ、卒業生スピーチ(映画制作をしている若いアジア人女性)のあと、一人ひとりの名前が呼び上げられ、壇上に登っていきます。説明もなーんにもなかったですが、非常にとどこおりなく進みました。途中、音楽部の学生による演奏をはさんで、合計2時間、えんえんと学生たちが学長と握手をしていきます。名前が呼び上げられると、家族や友人が「ヒューヒュー」と歓声を上げるのは、パシフィック系の学生に多かったです(夫もしたかったそうですが、娘に「恥ずかしいから絶対やるな」と釘をさされたそうです)。
このあと、国歌を歌って、解散となりました。アメリカのドラマであるような帽子を投げるシーンはなかったです。そんなことしたら、貸し衣装屋さんに怒られるような気がします。
教授陣の衣装がハリー・ポッターの世界だなーと思ってしまいました。
同じ規模の卒業式が1日に4回、3日間、行われます。今年の卒業生は全部で6000人近く、とのこと。さすがNZ最大の大学だけあります。
こうやって晴れがましい機会に参加できたのは、ひとえに家族のサポートがあってこそ。本当に貴重な1年を過ごさせてもらえて、心から感謝しています。
晴れ姿。さ、がんばって仕事しよー。