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日英翻訳についてちょっと思ったこと

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 先週の木曜日に、去年通っていた大学の翻訳コースの公開セミナーに行ってきました。日本語が専門のWayne Lawrence教授によるセミナーのテーマは、「Translation of long sentences (Japanese to English) 」。
 Lawrence教授は沖縄の方言が専門、という私よりよっぽど日本の歴史や方言に詳しい方ですが、今回のセミナーは日本語が母国語でない人向けに、主語と述語の関係が分かりにくい日本語をいかにして英語に訳していくか、という実践的な内容でした。
 日本語を解読するための情報源として重要なのは、助詞です。「は」「が」を手がかりに、どれが主語で、どの動詞に対応しているかを見極めていきます。日本人なら無意識にこなしているプロセスを改めて説明してもらって、「日本語が母国語でない人は、こうやって分析して、日本語の文章を理解しているのか」と、新鮮に聞いていました。このセミナーの対象は英語を母国語とする人がメインでしたが、なるほど、こうやって日本語を組み立て直すと、英語にしやすいなあ、と、私にも参考になりました。
 そして、思ったのです。場合によっては、英語を母国語とする翻訳者が訳すより、私が訳した方がいい日英翻訳もありうるな、と。
 一般的に、自分の母国語に訳す方が質が高い翻訳となるとされているので、日本人なら英日翻訳、英語ネイティブスピーカーなら日英翻訳が中心となる傾向があります。特に英語圏では、この傾向が日本よりずっと強いように思います。
 そして、今回のセミナーのやり方で日本語を母国語としない人が日本語を理解するのは、新聞記事や契約書など、ある程度のレベルが保証されている原文なら問題はないでしょう。
 しかし、実際に訳す場合、そうでない文章もたくさんあるのが現実です。主語があるはずなのにない、とか、主語が最後の動詞になった時に別のものに入れ替わっているとか、そういった文章にお目にかかることも珍しくありません。でも、日本語が母国語の人なら、日本語の思考法や文化・慣習を理解したうえで、そういった文章をいったん組み立て直して、意味を理解することが可能になります。
 最近、私は知り合いの元英語教師に英語を添削してもらい、英語のWritingのスキルの向上を図っているところです。とはいえ、月に1、2回なので、非常に亀の歩みですが、それでも毎回、英語ならではの言い回しや組み立て方を教えてもらって、非常に興味深いです。今後もこつこつと続けていこうと思います。
 ということで、今回のブログは非常にきまじめな内容でしたが、このセミナーの後、去年のクラスメイトとランチを食べに行く(&おしゃべりをする)のが楽しみで、このセミナーを受けていた、という事実も私は正直にここに述べておきます。
 

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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