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新しい住人

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 11月末に引っ越しを敢行した我が家には、前の住人が残した立派な鳥小屋がありました。家を見に行った時には、セキセイインコが何羽もいたものです。で、せっかくなので、花よりだんご派の我が家は、ニワトリを飼うことに! 目的はもちろん卵! このところ、NZでもエコの動きがさかんになり、住宅地でもニワトリを飼うのが結構、はやっているのです。

 郊外で放し飼い(英語でFree Range)でニワトリを飼育している業者(といっても自宅の庭の隣に敷地を利用)から、18ヶ月が過ぎ、肉となる運命の3羽を12月末に購入。1羽5ドルなので、Free Rangeの卵1ダースより安い値段です。

 なんでも、この月齢を過ぎると、卵がどんどん大きくなって、殻の色が茶色から白っぽくなっていくそうです。知らなかった。でも、家庭用に消費する卵なら、全く問題なし。3羽には、第二の人生を歩んでもらうために、我が家にお越しいただきました。

 到着した当初こそおびえて、奥の部屋に入り込んでしまっていましたが、しばらくすると、慣れてきて、我が物顔で庭を歩き回るように。そのうちに、個性が見えてきました。その名もランちゃん、ミキちゃん、スーちゃん、3羽そろってキャンディーズです(命名:夫)。この名前にピンと来た方は、私たちと同世代ですね。ふふ。

 ランちゃんは、一番偉くて、ほかの2羽がえさをとろうとすると、厳しく指導します。趣味は穴堀り。お風呂に入るみたいに、自分が掘った穴にうっとりと浸かってします。ミキちゃんは、ランちゃんの子分で、後ろをへいこら付いて回っています。一番早く寝るランちゃんがいなくなると、スーちゃんをいじめる、というひどい奴ですが、体は一番身軽。スーちゃんは一番ぽっちゃりしていて、図体は大きいくせに、一番下っ端の身分らしいですが、とってもフレンドリー。私たちの姿が見えると、「なにかおいしいものちょうだーい」と駆け寄ってきます。

 ニワトリ用スペースに開放した場所は、周囲は穴だらけとなり、芝生部分はついばまれてどんどん枯れてきています。フンも毎日、拾わないと、ハエがすごくなるし、くさい。それに、朝は「早くケージから出せ」、夕方は「早く夕食を出せ」とわいわいと騒ぐので(日中はすごく静かですが)、近所に気を遣います(順次、卵を進呈中)。それでも、3羽が思い思いに過ごしている様子を見ていると、なんだか非常に和みます。ニワトリにこんなに個性があるとは。

 ほぼ毎日、3個ずつ産みたての卵が手に入るとは、これこそぜいたく。生で卵を食べる習慣がないNZでは、卵の衛生管理が日本よりゆるいらしく、日本人の間で、卵掛けご飯はあこがれのメニューなのです。ゆで卵にしても、こちらではいくら買いたての卵でも、殻がするするむけるので、「日本の卵がむきにくいのは、種類が違うのかなあ」と思っていたのですが、さにあらず。キャンディーズの卵は、むきにくいのです! ということは、やはり新鮮さが日本とは違うということだなあと、びっくり。

 でも、これだけ動き回るのが大好きで、穴掘りを楽しみ、夜は干し草の入った箱でぐっすりと眠るニワトリたちと同じ仲間が、一生を身動きできないケージで過ごす、というのは、哀れでなりません。みんな、Free Rangeの生活が送れるようになればいいのに。

「ゴージャス」な鶏小屋。奥には「ベッドルーム兼産卵ルーム」があります。

左からミキちゃん、ランちゃん、スーちゃん

我が家で初めての卵の瞬間。我が家に来てからほとんど毎日、3個ずつ産んでくれています。

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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