英語で話す「キリスト教」Q&A
最近、「英語で話す「キリスト教」Q&A」という本を読んでいます。これは、講談社のバイリンガル・ブックスというシリーズの一つで、左ページに日本語、右ページにその対訳が掲載されていて、テキストの内容そのものも興味深いですが、「この単語はこうやって訳すのか!」とか、「こういう言い回しがいいのか」といった翻訳の勉強にもなります。そういえば以前に、仏教関係の論文を翻訳する際には、「英語で話す「仏教」Q&A」が非常に参考になりました。
さて、ニュージーランドに移住して10年目の今頃になって、なぜ今さらキリスト教なのか、というと、直接のきっかけは娘がカソリック系の高校に今年から通うようになったことです。
この学校は私立でカソリックの生徒がほとんどですが、国からの補助金も受けるというIntegrated校なので、生徒数の5%は非カソリック系を受け入れる義務があります。娘はその枠を使って入りました。NZでの高校選びについては、また今度、ご紹介しますね。日本とはまったく違う考え方、システムなので、びっくりされるかも。
ちなみに我が家は、日本にいたころは初詣に神社に行っていたし、七五三も神社で祝ったし、お葬式は仏教方式だけど、お経もろくに読めないという、典型的な日本の宗教なので、学校への書類には「仏教徒」として申請しています。以前にも書きましたが、「無宗教」というのは、あらゆる神をも否定するかなり強いポリシーを意味するので、一般的な日本人には当てはまらないと思います。
校長先生との面接の時に、私から「カソリックのことはまったく分からないのですが、大丈夫でしょうか?」と質問したら、「カソリックでないから、とないがしろにされることはないから安心してください。当校にはユダヤ教の生徒もいますから」とのことで一安心。ご存じのように、キリスト教とユダヤ教の間には、深い溝がありますから。
ただ、入学前の説明会に娘と出席した時に、最初にまずお祈りの言葉から始まることに面食らいました。さらに、「Mass」という単語を聞いて、文脈から日本語でいうキリスト教の儀式「ミサ」であることはすぐに分かりましたが、「そっかー、Massって言うのかー、ミサって日本語なんだー、知らなかったー」という、非常に低レベルの知識しかないことを改めて自覚。この本を読み始めることにした次第です。
まだ全部読み終わっていないのですが、特に、一番知りたかった「Church」の概念の説明が非常に興味深かったです。こちらの人としゃべっていると、しょっちゅう「Church」という言葉が出てくるのですが、どうも私が抱いている「教会」という言葉の概念と違う気がしていたのです。
この本によると、
日本語で「教会」と言うとたいてい建物のことを指しますが、本来キリスト教徒にとっての教会とは、「信者の集まり、共同体」のことです。(中略) 信者や聖職者が会話の中で「私たちの教会」と言ったら、それは彼らが普段通っている教会の建物のことではなく、彼らの宗派全体を指しているかもしれません。(p.231)
とのこと。なるほど! と合点がいきました。
さらに、毎週、日曜日になると教会に行くわけですが、「大変だなあ。いやになったり、面倒に感じたりしないのかなあ」とひそかに思っていました。ところがこの本によると、
・・・基本的にカトリック信者にとって、日曜日に教会に行くのは誰かに強制された義務などではなく、「神様に会える週に1度の楽しみ」なのです。(p.234)
なので、みんな、毎週、ちゃんと教会に行くのですね。あと、安息日としての日曜日の概念もすっきりと理解できました。
NZはキリスト教国で、クリスマスやイースターは祝日になります。だからといって、国民全員がキリスト教、というわけではなく、熱心な人もいれば、「小さいころは親に連れられて教会に行っていたけど、今は全然」と言う人もいます。
ただ、やっぱり基本の考え方としてキリスト教による教えがあります。また、娘の通う学校には熱心なキリスト教徒がたくさんいて、娘によると、昼休みに開かれるMassは強制ではありませんが、喜んで出席する生徒も多いようです。娘は、「神様がそんなに偉いなら、なんで、あんなひどい地震なんか起こすのか」と思っているので、出席せずに、図書室で本を読んでいるそうです。宗教の時間は、神話と歴史の時間として受けるようにしたらいいよ、と言ってありますし、この国で住む上での基本知識として無駄ではないと思います。
ということで、親の私も勉強しなくては、とこの本をちょっとずつ気が向いたところから読んでいます。
英語で話す「キリスト教」Q&A
Talking About Christianity Q&A
著者:足立恵子
訳者:ジョン・ベスター
発行所:講談社インターナショナル株式会社