BLOG&NEWS

娘の卒業式

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 この土曜日は、娘の通う日本語補習校の卒業式でした。ニュージーランドの学年は、夏休み明けの2月から12月が一学年ですが、日本語補習校では日本式に3月が学年末なのです。娘も中学3年生ということで、お世話になった補習校をついに卒業です。

 ニュージーランドには、全日制の日本人学校は存在せず、現地校に通い、放課後に通う日本語補習校しかありません。それでも、この日本語補習校のお陰で、日本式の勉強を教えていただけるだけでなく、日本ならではの運動会などの行事、親交を深めることができるキャンプなど、いろいろな経験を積むことができました。

 両親が日本人なら外国に住んでいても日本語で話せて当たり前、というのは、大いなる勘違いであり、子供は英語が第一言語になってしまうことが多々あります。なので、親が日本語で話しかけ、子供は英語で答える、というやりとりが普通、というご家庭もよく見かけます。また、学校で使ういわゆる「アカデミックな日本語」は、家庭では接する機会がないので、学校で教わる、というのは、言語の幅を広げるために非常に重要な場なのです(普通、家庭での日常会話で、「アルカリ性と酸性を中和させて」とか、「二次方程式の解を求めよ」といった言葉を使うことはあまりないはず)。

 我が家の場合、3歳でニュージーランドに移住してきたにしては、娘はバイリンガルとして日本語と英語を両立させていると思います。これはひとえに、娘が日本の文化(本、歌、アニメ、マンガなど)が大好きで、自分から身につけようとしているからだと思います。

 先日も、私が「新しい法王は、笑顔が素敵で、なんだか親しみが持てる」と言ったら、「そうだよねー。先代は、ちょっと悪役っぽかったよねー」と「先代」という言葉をスムーズに使えて、すごいなーと思いました。ただ、発音が「仙台」になっていたので直しましたが、いちいち発音を直されるのもいやみたいで、難しいです(私も娘に英語の発音を直されると、ちょっとむっとしてしまうので、気持ちはよく分かるのですが、つい、直してしまうのです)。

 卒業式当日は、ニュージーランドと日本の国歌を歌った後、一人ひとりに卒業証書が授与されました。日本の卒業式と違って、練習は当日朝の数十分のみ。でも、みんな、上手に日本式にお辞儀や受け取りができていました。

 その後、来賓(領事館総領事)のあいさつ、在校生の送る言葉の後、卒業生がそれぞれ原稿用紙2枚ほどのスピーチ。それぞれに補習校での思い出や今後の抱負を披露しました。娘は初めに、「6年生の時のスピーチは、当日の朝に先生に書いてもらいました」と暴露し、私は「えー、立派に書けたものだ、と感心していたのにー」と一人動揺しておりました。そのあとは、ちゃんと中学生活の思い出を語っておりましたが・・・。

 続いて、サプライズということで、先生方が歌を歌ってくださり、最後に校歌斉唱。在校生たちが手をつないで作るアーチを卒業生たちがくぐっていくのが伝統です。和やかな中にも、日本らしいおごそかな感じがあって、いい卒業式でした。

 はあ、それにしてもこれで一つ、区切りです。4月からは1週間に1回の高校生講座に通う予定ですが、週3回の補習校の送り迎え(車で片道25分)は夫と分担していたとはいえ、ちょっと大変だったので、やれやれです。

卒業証書を渡されるところ。子供たちはそれぞれの現地校の制服を着て出席します。

Written by

記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

END