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高尾山・火渡り祭2016

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通訳・翻訳者リレーブログ

東京の高尾山麓では、毎年3月の第2日曜日に、火渡り祭が行われます。
火渡り祭…正式名:「高尾山火生三昧火渡り祭」。
高尾薬王院《正式名:「高尾山薬王院有喜寺」。744年開山。真言宗智山派の大本山》で行われている、2つの荒行(「水の行」「火の行」)の内の、「火の行・御護摩修行」を一般公開したもの。
浄火により、世界平和、息災延命、災厄消除、交通安全、身上安全などを祈念するという。
山伏に続いて高尾山の信徒、その後には、一般の参加者も火の上を渡ることができます。
祭場は、自動車祈祷殿(高尾山口駅より徒歩5分)。
さて今年。3月13日―。
現地に早めに到着。
これが、高尾山口駅。
(少し前にいきなり、モダンな雰囲気になりました)

高尾山口❶ (800x531).jpg

まずは…小腹の心配。
で、近くの蕎麦屋へ駆け込む。
と、ズルズルやっていたところ…
真言を唱えながら高尾山を下山し、祭場へ向かう山伏と僧侶の御一行が。

②.jpg

さてと。
こちらもボチボチ、祭場へ向かいますか……
12:30pm。儀式開始30分ほど前に到着。
辺り一面、すでに人…人…人…人。火渡りを行なう、一般参加者の長蛇の列も、会場ぐるり出来ていました。

③ (800x533).jpg

人をかき分けかき分け、向かい側の丘へ。
儀式の開始を、しばし静かに待ちます。
13時少しばかり前。
遠くの何処かから、法螺貝の音が聞こえてきます。
微かなる音。しかし確実にこちらへ。
そうして13時半頃。会場に山伏たちの姿が。

④改訂 (800x533).jpg

いよいよ、儀式の開始。

カメラをしっかり構えていたものの、目の前で展開されている物語の、そのあまりの迫力にアワアワしてしまい、写真がやったらブレブレ。おまけに、すべての過程を収めることが出来ず。
《これ、来年への持ち越し猛反省ね》
とにかくです……
★★式次第(しきしだい)★★
儀式は、このように進行。
*阿字門(あじもん)
火道場の開門。
*大導師招待(だいどうししょうたい)
大導師を、本座へと案内する作法。

大導師招待⑤ (800x533).jpg

*火切加持(ひきりかじ)
金剛の智慧(ちえ)の火により、道場内及び行者の不浄を焼き尽くす作法。
*床堅(とこがた)
凡身即仏(ぼんしんそくぶつ)の行儀。行者の肉身即ち大日如来であると観ずる作法。
*神斧(しんぷ)
柴燈護摩(さいとうごま)の檀木(だんぎ)の木を切り出す作法。

神斧⑥ (800x532).jpg

*寶剣(ほうけん)
道場内の魔、そして自心の魔を断ち切る作法。

寶剣❼ (800x533).jpg

*寶弓(ほうきゅう)
四方の外魔を、道場内に入り込ませない作法。

寶弓⑧ (800x517).jpg

*願文(がんもん)
御信徒各位の願い事を、本尊に述べる願い文。

寶弓⑨ (800x533).jpg

*閼伽・点火(あか・てんか)
釈迦如来(しゃかにょらい)の心水。これを本尊に供えた後に、中央に積まれた檜の葉に点火。

閼伽・点火❿ (800x522).jpg

*散華・梵天祓い(さんげ・ぼんてんはらい)
本尊に供養の華を散き、仏法の守護神である梵天の大威力(だいいりき)により、身口意(しんくい)の三密を清浄。

⓫ (800x532).jpg

⓫-3 (533x800).jpg
⓫-4 (800x522).jpg
⓫-5 (800x531).jpg

辺りは、こんな感じ。

山の様子。 (800x533).jpg

念の為、数台、待機しています。
煙にまみれ、霞んで見えますが。

消防車。 (800x533).jpg

*湯加持(ゆかじ)
大釜で湯を沸かし、水天(すいてん)と同体となった行者が、熱湯で身心を清める作法。

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*火生三昧表白(かしょうさんまいひょうはく)
本日の火生三昧の趣旨を、本尊に啓白(けいはく)する。

火生三昧表白⓭ (800x513).jpg

*清浄払い(しょうじょうはらい)
火渡りに備え、再度、魔を振りはらう作法。

(この頃ようやく、視界がはっきりしてきます)

14 (800x533).jpg

*火生三昧(かしょうさんまい)
鎮火した頃。不動尊の力を体得し、火を統御し得る存在となった修験者が、素足で火の上を渡る。
悪魔、煩悩、怨敵を降伏し、安穏解脱を得る修行。
火を渡ることにより、除災を行ない、人々の不安や悩みの除去の意も。

火生三昧⓯ (800x532).jpg

*御信徒火渡り(ごしんとひわたり)
己の煩悩や汚れを、焼き尽くす意ある儀式……。
この後、一般の人も渡ることが出来ます。

17.JPG17-2.JPG

17-3.JPG

《以上、高尾山HP参照》
炎が上がるまでは、約1時間。
そうして…
最後の人が火を渡り終えるまで、2時間はあったでしょうか。
天高く燃え盛る炎、空一面を覆う煙。
ひとつひとつの意を、心身で感じ取りながら。
その熱気に圧倒された、深い、深い、ひと時でした。


~~~~~~◇~~~~~~~◇~~~~~~~~~~~~~~~~~

ここで、山伏の”修験十六道具”の内の、幾つかを御紹介……
☆頭巾・頭襟・兜巾(ときん)
→→頭に戴く、漆などで固められた布製や木製のもの。
頭部を保護し、山の悪気を防ぐ為のヘルメット、水を汲むコップ代わりにもなっている。当初は頭全体を覆う大きさだったが、江戸時代以降

に小型化が進み、現在の直径約8センチの宝珠形に。

黒色は煩悩、12の襞(ひだ)は「十二因縁・縁起」(仏教の根本経説)の象徴である、と言われている。

帽子。.JPG

☆鈴懸・鈴掛(すずかけ)
→→衣の上に着る麻の法衣。
上衣は9枚の布で作られ金剛界を表わし、袴は8枚の布で織られ、胎蔵界を表わす。深山を行く時に、露などを防ぐ為のものでもあり。

しめ。.JPG☆結袈裟・不動袈裟(ゆいげさ)

→→修験道専用の袈裟。
九条袈裟(細長く折り畳んだ布)を輪の形に紐で結んで連ね,所々に菊綴じのような装飾をつけたもの。

色は、かつて白もしくは黒だったが、現在では修験者の位階に応じて異なる。前にぶら下げる。.JPG

☆手甲(てっこう)/脚半(きゃはん)
→→手の甲や足を保護する為の、布や革製の用具。

たび。.JPG

☆引敷(ひっしき)/引敷物(ひしきもの)
→→シカ、ウサギ、熊などの毛皮で作られている、お尻にぶら下げる携帯座布団。
鞍の上や入峰修行の野外休息時に引敷になる《水を通しにくく温かい》。槍などを包む時などにも使用される。獣の毛皮に座ることは、獅子(ライオン)に乗ることになぞえられるとも。
また、獣の毛皮は煩悩であり、これに座ることは煩悩を制すること、とも解釈されている。

しきもの。.JPG

☆法螺(ほら)
→→インドや中国で、儀式などで古くから使用されていた楽器。
元々はインドの釈迦が法華経を説かれた時、人々を集める為に用いたものとされている。動物を服従させる「百獣の王獅子の声」とも言われる。
宿入り、宿出、説法、掛合、問答、集合、峰中など、多くの曲がある。

ほら。.JPG

☆貝緒・螺緒(かいのお)
→→腰の両側に房に結び、垂れ下げる紐。
山岳修行時、絶壁を登る時や緊急時に使われる、いわばザイル。2本1セットに分かれており、因果円満を表している。文字の示すとおり、以前は、法螺貝を結びつけるのに用いていた。
☆最多角念珠・最多角念珠・伊良太加念珠・刺高念珠(いらたかねんじゅ)
→→算盤の玉の形をした、108の珠からなる念珠・珠数。煩悩を断じて仏果を生み出す法具。

IMG_8849.JPG

☆錫杖(しゃくじょう)
→→人々を悟りへと導く智杖。
錫杖と金剛杖から成る。先に錫(しゃく)、末に石突き。そして頭部の金属輪には、四輪、六輪、十二輪があり、修験者は主に六輪の菩薩を使用。
入山時、音を鳴らし獣から身を守ったり、読経の時の音頭や、来訪を知らせる時に用いる。この”シャクシャク(錫々)”という音が、錫杖の名の由来とも言われる。

杖。.JPG

〇〇追伸〇〇
元T女子高等学校・日本史の先生、G組担任のち校長いま京都~のM恩師、
こんな感じでよろしいでしょうか?
どこか間違った記述ありましたら、すばやく御一報ください!~(;・∀・)
~~~~~~~~◇~~~~~~~~◇~~~~~~~~~
雄大な山々に囲まれ、柔らかな春風を受けながらの、
荘厳で厳粛で神聖で……
ああ! 言葉では表現し切れない!
とにかく、美しい儀式でした。 
さて、高尾山。
火渡り祭が終わると、
心地好い、登山の季節が巡ってきます……
↓  山へ戻る山伏ら。

最後の写真。 (800x524).jpg

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高校までをカナダと南米で過ごす。現在は、言葉を使いながら音楽や芸術家の魅力を世に広める作業に従事。好物:旅、瞑想、東野圭吾、Jデップ、メインクーン、チェリー・パイ+バニラ・アイス。

END