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南米某国の怖い怖い…お・は・は・し
日本人が海外で、犯罪に巻き込まれたという話を聞くたび、気持ちがドーンと重くなる。こころがひどく痛みます。なぜそんなことが起きてしまったのか。防ぎようがなかったのか。痛ましい。
幼年期を過ごしたカナダ愛が、あまりにも深くて、過去の話を書く機会があると、きまって、”カナダ! カナダ! カナダ!”……と、そればかりしつこく連呼してしまう。よって、カナダにしか住んでいないみたいですが。でも実はもう一カ国、住んでいた国があるのです。中学から高校に掛けての約3年間、南米の某国に。遠い遠い昔のこと。普段はきれいすっぽり忘れてしまっていますが…。
住んでいる間、まあ色々なことが、本当に本当に色々なことがありました。いま思い返すだけでも、ドッと疲れが出てくるほど。
そんな中でも、とびきりキング・オブ・ショックと言ったら、某国大使館員の誘拐事件だろうな。それは週末、ゴルフに興じている時。茂みに隠れていた連中に、見事誘拐されたのです。日本とは違い、パーティー間が開いていて、のんびりプレイしているから、ひとりやふたり誘拐することなど、そうとう簡単にできちゃうのです。
一緒にスペイン語の授業を受けていた、その大使館員の娘は、心労のあまり日に日に痩せ細っていきました。そりゃそうだ、自分の父親が誘拐されちゃったのだから。で、2-3カ月後だったかな、無事開放されたのは。そう、あそこの誘拐犯たちは、残忍なことは滅多にしないのだ。こちらが要求をのみさえすれば。だとしても、バリバリ恐ろしや。
そうそう、日本から持参したステレオを、修理に出した時の話は、もう最高級のギャグ。修理に出した一週間後、”すみません。直りませんでした”…と業者が持って返って来た時には、”まあそういうこともあるわなあ。仕方がない”…と諦められた。が、しかしそのステレオ、前よりもどうも軽いのだった。だから不思議に思い、すぐさま解体してみた。そうしたら……な…な…な~んと! 中の部品がきれいスッポリなくなっていた。あっはっはっ。
って、何が起こったかって? そりゃ簡単さ。日本製の部品は、うんと高く売れるのよ。だから敵は、中身をガバッと引っこ抜き、売り飛ばしちゃうってわけさ。あっはっはっ。
スリなんてブレックファースト前。だから、ダウンタウンを闊歩する時は、高価なブラブラ・ピアスは外しましょ。なぜかって? そりゃもう、引ったくられるからよ。奪われたその瞬間、ふわっと微風を感じるんだって。もう一瞬の出来事、見事な仕事ぶりよ。で、耳たぶはどうなるかって? そりゃもう、パッカリちぎれるわな。で、血ドボドボよ。でもご安心を。耳たぶって、すぐにくっ付くんだって。あっはっはっ。あっこれ、学校の友人の経験談ね。
そう、だから街中を歩く時は、道路側は避けるべし。まあそれでも、ヤラれる時はヤラれるが。けど、その時はその時さ。耳たぶちぎれたくらいじゃ、人間死にやしないから。大丈夫、大丈夫。
長い夏休みから戻って来たら、家の中が空っぽだった。家具も電化製品もすべて、まるごと消えていた。そんな事件もあったなあ。言うまでもなく、これ泥棒たちの仕業。でも、なぜそんだけ運び出せたかって? そりゃ引っ越しサービス業者装い、トランク横付けし、堂々と運び出すからよ。だから近所の人たちは、”ああ、引っ越すのね”…と思うだけ。では、なぜ留守だってことが分かったかって? それはお手伝いさんが、外の泥棒たちとグルだからよ。いたって簡単な話。
あっこれも、御学友たちに起こった実話。ちなみにその友だち、自宅のドア開け中へ入った途端、自分の顔がムンクの「叫び」になっちゃった…らしい。まあ、そうだろうなあ。あっはっはっ。
駐車中に右前タイヤのアルミホイール盗まれて、近くの工場で取り付けて貰っている間に、左後タイヤのアルミホイール盗まれたこと、いつかありましたっけ。何でそんなことが起こるかって? そんなこと、わたしに聞かんといて! で、そんな時、被害者はどうするかって? そりゃもう、ひたすら腹抱えて笑うしかないわさ。あっはっはっ、あっはっはっ。
世界はアンビーバブーなことに溢れています。それは時に、半端でなく、ヤバいことだったりもします。怖い、怖い。それでも此の世界は、やっぱり面白い。半端でなく、面白い。そのアンビーバブーな面もまた、それぞれの国のスパイスになっている。良い味出してくれています。…って言い過ぎか? でもとにかく、世界は面白い。そうして旅は楽しい。
だから若者よ、どんどん外を目指そう! 扉の向こうには、エキサイティングなワンダーランドが広がっているよ!
では、そうすべきか…。
それはもう、何よりもまず、五感を研ぎ澄ませ、自分の勘をたよりに、周囲の音や匂いを、その気配を心身で感じとること。そうやって、その場その場、その時々で判断しましょう。その感覚や勘は、色々な地に足を踏み入れ、色々な経験を積みながら、自ら身につけていくしかない。
もちろんインターネットなどで、各大使館発表の情報を、事前確認するのは、言うまでもなく。
では具体的に、どういうことに注意すべきか。例えば…。
流しには、絶対に絶対に絶対に乗らないこと。そんなものに乗るなんて、”どうぞあたしの金品を、身ぐるみ剥がしちゃってください”…と、自らカモに立候補
しているようなもの。タクシーに乗るのなら、ホテルなどで呼んで貰いましょう。少し高くついても、差はたかだか数ドル。そんなところで、冒険挑戦ケチケチしている場合ではない!
人気のない町中や、狭い道は避けるべし。安全な道を行きましょう。それがどんなに遠回りでも。でも人混みでも気をつけて。その時は必ず、リュックサックは前に下げて、ショルダーバッグは小脇に抱えて。
片言の日本語で、親しげに話しかけてくる人ほど、怪しいヤツらはいない。まあ、国にもよりますが。で、しつこくまとわり付けられたら、無視して逃れて巻いて巻いて。あるいは、何語でも良いから、大声で叫べば良い…らしい。案外すぐに諦めてくれます。
車で移動中、どうしても怪しげな町の、怪しげな店に入らなければならない時は、車を視界の入る位置に停めて。そうして、大切な旅の相棒をさらわれぬよう、食事中でも買物中でも、しかと見張っていましょう。
街中を歩いていて、”この先はヤバイな”と感じたら、速やかにUターンを。”このレストランは嫌な感じがするなあ”と思ったら、迷わず他の店を探そう。
晩ご飯は早めに済ませ、夜は極力外出しない方が良い。安全だと分かっている場所以外では。従って、翌日の食料や飲物などの調達は、前日の明るい内に済ませておきましょう。
一日の終わりに、車をパーキングする時には、カーステレオを外し、ホテルや自宅にお持ち帰りすることも、絶対に忘れずに。トランクに移しても良いのですが、夜中にトランクの鍵を、こじ開けられることだってあり得るから。だから完璧な策にあらず。まあ、ホテルや自宅が強盗に入られたら、どっちみち盗まれてしまいますが。その時はその時だ。あっはっはっ。
お金はいつも、数か所に分けて持ち歩きましょう。必ずポケットの中に、小銭を忍ばせて。そうして何かあったら(何かあってはならぬのだが)、おとなしくそいつを差し出すのだ。2ドルや3ドル、ケチケチするなかれ。
ホテルにチェックインする時には、まずは、当てがわれた部屋を見せて貰おう。水はちゃんと出るか、お湯も出ればラッキー。ドアや窓の鍵は壊れていないか、チェーンの位置は無問題か。
でもそんなこんなよりもまず、どうも落ち着かないと、こころのどこかで、少しでも感じたなら、別の部屋に案内して貰った方が良い。いや、別のホテルを当たったって良い。とにかく自分の勘を頼りに。はい、このザワザワした勘というものは、なかなか侮れないもの。言葉では説明し難い感覚ですが。でもこのザワザワは、そうとうアテにできます。
とにかく無駄な、無意味な、無茶な抵抗だけは、絶対にやめましょう。少し高くついても、少し遠回りになっても、常に安全な方を選びましょう。命よりも大切なものはないのだから!
そうそう、盗まれたものをどうしても諦め切れず、どうしても取り返したい場合には、ひとつ手があります。それは、最寄りの泥棒市へ行くこと。そこら中にありますから。ついさっき盗まれたアルミホイールやらピアスやら家具やら電化製品やらと、そこで涙の再会できるかも…です。これ本当の話よ。そんな国、この地球上にはごまんとありますって。あっはっはっ。
警察に通報…ですと? ご冗談を! 警察なんて、まずアテになりませんって。下手すると、泥棒たちの一味だったりするし。危ない、危ない。あっ、でも、現金ちょいと掴ませたら、少しは動いてくれる…かもね。あっはっはっ。
日本は本当に平和で安全な国。ズボンの後ろポケットから、財布半分はみ出させている男や、バッグの口をガバッと開けたままの女を見るたび、”ありゃ簡単に引っこ抜けられるわなあ”…と、プロのスリではないわたしですら、こころウズきます、いやもとい、心配になります。
それはそうと、あんな無防備なこと平気でやっているとこ見ると、実際過去に悲しい目に遭ったこと、一度もないのだろうなあ。涙が出るほど素晴らしい御国だ!
平和ボケ自体は、けっして悪いことではない。それに対し、ゴチャゴチャ非難される筋合いなど、絶対にないのだ。いやそれどころか、こころから誇れることです。こんな緊張感なく、昼も夜も街中を、のほほーんと歩ける国なんぞ、広い地球上そうそう存在しないのですから。こんな国に住める我々は、本当に幸せ者です。
しかしいったん外国へ行ったら、そうはいかない。いつもの感覚でいたら、とんだ目に遭いかねない。だから、常に用心するに越したことはない。神経質なくらいでちょうど良い。あまりにもガチガチになり、旅を楽しむのを忘れてしまったら、本末転倒ではありますが。まあだから、その辺のバランス感覚を…とでも言うのでしょうか。
そう……用心することに、慣れてしまえば良いのです。
同じ此の地球上にあるとは思えない、南米の某国。日本の裏側に、いまでも堂々と存在する、アンビーバブーこの上なく、物騒でヤバいことだらけの、呆れて開いた口が塞がらない、南米の某御国よ。アナタとの3年間のお陰で、わたしはそうとうタフな旅人に成長しました。
だから最後に、この場をお借りして、アナタにムチシマス・グラシャスを。ほんと、ありがとよ! あっはっはっ(・_・;)