芸術家のいちサポーター
先週のブログを読んでくださった方から、“で、結局、どういう仕事をしているの?”という御質問を受けました。うーん、確かにあの内容では、分かり辛かったですね。と言うわけで、先週の続きです。
ちなみに名刺の肩書きは、雑誌社時代は「編集部・エディター」、フリーになってからは「通訳・翻訳」。ただし“通訳”といっても、やっているのは“逐次”のみ。ブースは大学の同時通訳クラスの“拷問部屋”以来、一度も入っていない。
編集部在籍時は、アルバム・リリースや来日に合わせ、レコード会社ディレクターやプロモーター等との打合せ⇒雑誌ページ割り⇒インタビュー日程調整⇒カメラマン打合せ⇒インタビュー質問事項作成⇒現場インタビュー⇒テープ起こし&原稿書き(タイトル・リード・キャプション・取材後記など含む)⇒デザイナー打合せ⇒印刷会社へ入稿⇒文字・色校正……と、担当アーティストのひとつの記事が完成するまでの、全工程を担当していました。
フリーになってからも、引き続きレコード会社や雑誌編集部などから、お仕事を頂いています。
アルバム・リリース時には、アーティスト最新バイオ・資料翻訳、アルバム歌詞対訳、テレビ用ビデオ取材字幕入れ、レコード会社及び雑誌用インタビューなどなど。
またプロモーションやコンサートでの来日時には、アーティストは半日から数日間に渡り、レコード会社や宿泊ホテルの会議室に詰め、何本ものインタビューを一気にこなすのですが、私はその時の通訳兼お守り兼その他雑用係です。逆に雑誌社などからの依頼で、インタビュアーや通訳として、彼等を訪ねる側に回る場合も。この時の質問事項は、自分で作成し直接行なう場合と、雑誌社・評論家サイド作成のものを元に、インタビュー通訳する場合とあります。また、複数の雑誌用にこちらで質問事項を考え、まとめて1時間以上のインタビューを行ない、その後それぞれの記事用に書き分ける場合もあります。
因みにインタビューには、この対面インタビューの他に、電話インタビューもあります。最近は後者の方が多いくらい。この辺に関しては、また改めて書きたいと思います。
要するに、音楽家の魅力やその作品・来日の情報を、人々に伝える過程で、英語や言葉が必要となる作業は、何でも来い…の態勢です。
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どんなに素晴らしいアーティストや作品でも、その存在が世に知られなければ、皆さんの目…耳には届かず、闇に埋もれ、消え去る運命にあります。こんな恐ろしく勿体無いことはありません。
売ることを考え、そうして実際に少しでも売れ出すと、“あいつは魂を売った”とか“商業主義に走った”と非難されることもあります。でも自分の作品を、ひとりでも多くの人に触れて欲しい、共有して欲しい、そうして何かを感じ取って欲しいと願うのは、ごくごく自然な考えだと私は思います。その願いが叶うことにより、作品は生き続けますし、アーティストの次作、そうして未来へと繋がっていくわけですからね。
しかしこの宣伝活動を、アーティストひとりで担うには限界があります。ということで、所属レコード会社や事務所サイドが、彼等をサポートする“チーム”を編成し、そのチームの中に、言葉を繰る職業の人達が存在するのです。
そう、アーティスト…表現者には、できるだけ創作活動に専念して欲しいと、常々思っています。余計な雑念に惑わされることなく、ただひたすら、自分が表現したい作品に没頭し、生み出し、そうして人々を惹きつけて欲しいというのが、私の第一の願いです。
その為に私は、才能溢れる魅力的な彼等の、いちサポーター、いちファンでありたいと思っています。そうして彼等の創作活動を、陰ながら応援することに、今後とも関わっていきたいのです。
遠からず近からずの距離より、熱く、愛をこめて……。