いやはや、モダン・テクノロジーってヤツは…
ある人気女性シンガーの、ラジオ番組内での“不適切な発言”が波紋を呼び、CM放映中止、活動自粛にまで発展。3週間経った現在、まだ復帰の目処が立っていないと聞きます。
ここで詳細を書くことはしませんが、直後にラジオ生出演の予定があったわけですから、その中で発言に対する真意を語り、心からの謝罪を行なえば、このような事態にはならず、ことは収拾したと感じるだけに、その絶好のチャンス・タイミングを逃したことを、残念に思います。
日頃、アーティストをサポートする側に立つ者として、もうひとつ言わせて貰えるならば、なぜ周囲のスタッフが、この発言部分をカットしなかったのか、とても疑問に思います。
そう、この時のラジオ番組は、深夜の収録番組。おまけにその発言があったのは、番組冒頭のほんの数分。ですから、後で何とでも出来たはずです。
周囲のスタッフは、自分の抱えているアーティストを、命がけで守るもの。
彼等の発言をチェックし、カットすべき箇所があれば、カット・編集するのは、基本中の基本。電波であれ紙媒体であれ、これは大事な仕事のひとつであるはず。なのに…。残念です。
いいえ、別にここで彼女や、彼女の発言を擁護するつもりはありません。
その発言内容は、現代医学の常識とはかけ離れたものであり、不快に思った女性も、数多く存在するかと思います。従って、番組放送後に、非難の電話やメールが数多く届いたのは、良く理解できます。
彼女のような立場にある人は、その発言ひとつひとつに注意すべきです。自分の発言や行動が、世間にどれだけの影響を与えるか、ちゃんと認識すべきです。
しかし…うーん…それにしてもなぁ……。
そう、今回この騒動で個人的に最も強く感じたのは、“公人”の発言に対する誹謗、中傷、吊るし上げの、昨今のエスカレートぶり。
恐ろしくさえ思います。
なぜ、“あぁあ、この子、おバカなこと言っているわ”くらいの、冷静な大人の反応が、出来なかったのでしょう。
今回は番組放送後に、音声ファイルがインターネット内で広がり、その結果、批判が雪だるま式に大きくなり、それをマスコミがテレビ等で取り上げたことにより、このような事態へと発展していったわけです。
便利であるはずのインターネットですが、誰でも匿名で参加し、自由に発言が出来る場所であるが故に、何処で何が起こるか分からない世界でもあります。
それだけに、個々が細心の注意を払い、自分を守らなければなりません。
私の知っている海外アーティストも、色々と気を遣っています。
ブログを持っている人は、書く内容に非常に神経を遣っています。
また、日頃から家族を“出している”人以外は、特別な理由がない限り、プライベートのことは書きません。そういう類の写真も、公表していません。彼等自身は“有名人”であり、“有名税”も覚悟の上。しかし家族や友人までをも巻き込むのは、ひどく嫌います。
メール・アカウント名、送信時の名、文面最後の署名を、イニシャルやあだ名などにしている人も多いですし、メールが簡単には開かないよう、設定している人もいます。
言うまでもありませんが、私もアドレス・ブックには、そのイニシャル等を、そのまま記入していますし、返信時にも彼等の名が出ないようにしています。
彼等のプライバシー等に関わることも、何らかの理由がない限り、記事にはしませんし、写真も出しません。
神経を使い過ぎ、考え過ぎ…と思われるかも知れませんが、名の知られている人であればあるほど、それだけ細心の注意を払っていますし、そうした方が良い、それだけの事情があるわけです。哀しいかな。
……などと、ネットの負の面ばかり書くのも何なので、最後にひとつ、ちょっと素敵な話を…。
実は先日、私の大好きなバンド“ヨーロッパ”が、地元スウェーデンでのアコースティック・ライヴを、“会場へ足を運べない、世界中のファンの為に”…と、ネットで生中継してくれました。バンド初の試みです。
と言うわけで、家族が寝静まっている頃、ゴソゴソと起き、蒼色に染まった夜空の薄明りを浴びつつ、パソコンを立ち上げ、ディスプレイを覗き込みながら、ひとりニンマリ、約2時間のライヴを楽しみました。
中継終了後、世界中のファンから、バンド・ホームページ宛てに、温かな感想メールが、数多く寄せられたようです。
デビューより約25年。こんな日が来ようとは、いったい誰が想像したでしょう!
“Thanks to modern technology”…です。
そう、ですから、“これもインターネット、あれもインターネット。使い方はあなた次第!”
……と言うことで、今週はこれで、無理矢理締めさせて頂きます(笑)。