限界に挑戦中の密かなる楽しみ
とにかく忙しい。
先週頭は、いきなりインタビュー1日4本、その後も1日1本の割合で、こなしていました。従って来る日も来る日も、インタビュー相手の下調べ⇒質問事項作成⇒インタビュー⇒起こし……の繰り返し。すっかり限界に挑戦体制であります。
その上、早くもクリスマス・アルバム関連の仕事も、ボチボチ始まっています。いやはや。
そんなバタバタした、季節感まるでゼロの毎日を過ごしていると、それだけ増えるのが、あれこれ思い巡らす瞬間、瞑想の時間。不思議に聞こえるかも知れませんが。気が付くと、いつの間にか…。
これがとても大切なひと時だったりもします。
そういう時間がある方が、むしろ仕事が捗るのです。良い取材ができ、良い原稿が生まれます。
仕事にばかり没頭し、〆切に追われてばかりいると、発想の泉が枯れてきます。それは、考えただけでも、恐ろしい状態だったりします。
そんなこんなの中、先日うっとり眺めたのが、仲秋の名月。
上空を見上げたら、薄ら蒼色の夕空から覗く、その黄金色の満月の、本当に幻想的で美しかったこと! うさぎ達、楽しそうに餅をついていましたよ。これ、ほんと。
その魅力的な絵をレンズに収めようと、さっそくカメラを向けたのですが、これがどうも上手くいかず。私の現愛機では、限界があるようです。
このような焦れったい思い、時々感じます。旅に出ることが多くなっているここ数年、その思いは募る一方。
そうして最近よく開くのが、折々に集めている、カメラ関係の雑誌やカタログ達。それを眺めながら、デジタル一眼レフカメラに思いを馳せては、あれこれ妄想しています。
そう、活字・写真中毒の私は、機会ある度に家電屋へ寄っては、カタログ収集に勤しんでいます。最新のiPOD・iTOUCH・iPHONE、ヘッドフォン・イヤフォン、ステレオ、ICレコーダー、携帯電話、電子手帳、パソコン、プリンター、マウス、マッサージチェア……。キリがありません。
そうして、どれを購入すべきか、たっぷり悩みます。
手に入れるその瞬間に至るまでの時間、掲載誌やカタログなどを眺め、店頭で現物に触れ、店員と話し、そうしてあれこれ考え迷う日々が、これまたとても楽しかったりします。
そうしていま夢中になっているのが、このデジタル一眼レフカメラなのです。
取材先で、プロ・カメラマン達の働く姿を見るたび、もうウットリです。そのさまはちょうど、楽器を持ったミュージシャンと重なります。そう、とっても色っぽくてカッコいい。
一眼レフカメラは、そんな彼等の仕事道具。ですから、素人は触れてはならないもの、入ってはいけない領域。そんな感覚をこれまで強く持っていました。
だいたい、あの値段! おまけに、レンズの横のあの数字の群! あれは何? 頭の中であれこれ色々と計算し、押したり回したり足したり引いたり合わせたり! そんなイメージがあり、数字を見ただけで失神する私には、到底無理だろうと、最初から眼中にありませんでした。
それがいまや、誰でもがごく普通に手に出来る時代。その傾向は特にここ数年、目を見張るものがあります。値段もごくごく手頃。私が4-5年前から愛用している普通のデジカメ、あれだけ出せば、いまは立派なものが手に入ります。長年溜め続けている500円玉に、ちょっとだけ足せば、何とかなりそう。
近くの公園などに行くと、老若男女、誰もがみんな、立派な一眼レフを首からぶら下げ、咲き乱れる花々や緑にレンズを向けています。
そんな光景を目にするたび、“日本はやっぱり平和だなぁ”と実感します。余談ですが。
編集者やレコード会社ディレクター友達には、アーティスト写真を自ら撮る人が大勢います。そんな彼等、そうしてプロ・カメラマン達は、口を揃えて言います。“最近の一眼レフカメラは、値段が手頃なだけではなく、機能そのものが充実していて、素人でも扱い易い。とにかくカメラに任せて、心でその絵を捉えればいい。サルでも出来る、ぺこたんでもきっと出来る!”…と。
お〜、さようか、さようか!!
そうして木をかけ登り、すっかりその気になってしまっている私であります。
と言うわけで、取り立て屋(…原稿のね)に追われる中、本日もまたドサクサに紛れ、写真集やカメラ雑誌やカメラ・カタログを眺め、プロ・カメラマン達とメール交換し、ネットでチェックしながら、“その子”がやって来る日のこと、あれこれ思い巡らせています。
それがいまの密かな楽しみ、とても幸せな瞬間だったりします。
↑ 私の夢を叶えてくれる予定の500円玉貯金箱。