当たり前だと思っている当たり前ではないこと
ここ数日間、昼間の原稿書きが、思うように捗りませんでした。
集中力もなければ、想像力も沸かず、まるでやる気が出ず…でした。
と言うのも、このところ、周囲がひどく騒々しかったのであります……。
その㈰
ウチの上を、知らない人が歩いていたのです!
そう、屋根瓦の交換です。
小学校時代、“屋根裏に住む小人たち”の話を、夢中で読み、“ウチの屋根裏にも小人が住んでくれないかな”…と、淡い恋心を抱いていたことがありますが、それが現実に起こると、そうとうキツイものがあります。だいたい今回は、“小人たち”ではありませんでしたし…。
頭上から絶えずミシミシ音がするのは、あまり心地良いものではありません。
その㈪
ウチの中を、知らない人が歩いていたのです!
そう、風呂脱衣場の床の張り替えです。
我が家に居ながら、“あっ、どーも”…などと、突然知らない人に挨拶されるのは、何だかヘンな感じです。
その㈫
ウチの庭の中を、知らない人が歩いていたのです!
そう、塀の掃除&塗り替えです。
原稿書きの合間の気分転換に、よく庭を眺めているのですが、そこに刷毛やら梯子やらを持った人たちが、ワッサワッサ行き交っているのは、何とも不思議な光景であります。
その㈬
部屋の窓のすぐ外を、知らない人が歩いていたのです!
そう、ウチの外壁のペンキ塗り替えです。
2階窓の外すぐ横、屋根の上から、“おー、あとひと塗りだっ、がんばろう”…なーんて声が聞こえるのは、やはり自然ではありません。
そうして極めつけは、その㈭
ウチの真向かいに、広いマンションが建っていたのですが、数か月前にすべて解体され、更地になっていました。そこで数日前から、家の建築が始まったのです!
これから順に、計6棟建つそうです。その一番我が家寄りの家の建築が、いよいよ始まったわけです。
と言うことで1日中、絶えずキーキー・トントン、あらゆる音がしています。まるで歯医者複数人に囲まれた、虫歯の心境です。
あーー、集中できません。想像力ゼロです。気持ちが萎えます。原稿書きが捗りません。電話インタビューは、時間帯によっては、お断りしなければなりません。ラジオ用インタビューは、まずお引き受けできません。
そんなこんなの周囲の騒動ばかりではなく、体調も、日常生活や仕事に、あれこれ影響を及ぼすものなのですよね。
余談ですが…。
それで思い出すのは、20代の頃。
一晩中飲み続け、翌朝は、頭がジンジン・ガンガン爆発寸前。気分最悪で、仕事どころではなかったことが、よくありました。その度、気持ち良く日々を過ごせることの、ありがたさを痛感したもの。
そんな飲み方、もうしなくなって久しいので、あの辛さ、現在では味わうこともなくなりましたが。でもあぁいう時は、“もう二度とヤラかしません。深く反省してます。だから早く元通りにしてください!”…と、その辺にいる神様たちを、片っ端等からとっ捕まえては、片っ端等から訴えていたものです。
すみません、低次元な話で…。
そう言えば、もうひとつ。
ぎっくり腰の時も、辛かった。何年か前に、たった1度だけですが。
あの瞬間って、本当に“ガリガリッ!”…と音がするのですよね。驚きです。それから数日間は、大変でした。日常生活を送る上で、腰がどれほど大事か、初めて知り驚愕しました。
まともに笑うことすら出来ないのですから。それからベッドから起き上がることすら、ままならず。巻貝のようにクルクル“縁”までいき、そうして一気に立ち上がり…と、毎朝、そんなアホみたいな動作の繰り返し。
本当に参りました。
で、話を現在に戻しまして…。
今回の“真上&真中&真横&真向かい騒動”が起きている、ちょうどその頃、もうひとつ小事件勃発であります。
そう、愛猫Nちゃんに、思い切り後ろ足キックされ、右掌に立て2本、思い切り深い傷を掘られてしまったのです。
おかげで運命線と成功線が、くっきりと刻まれました。おそらくは、“ねーたん、人生フニャフニャ生きてるし、向上心もイマイチ薄いから、ほれっ、足しといたニャッ〜!”…という、優しい猫心もあったのでしょう。ありがたいことです。
でも、それから1週間近く、日常生活が色々と大変でした。
片手で髪を洗うのは、至難の業。ペンを上手く握ることすらできないのは、メモ魔としては、悲しいの極致。シャモジなどを握るのも辛く、ピーピー言いながらの料理です。箸もまともに持てないわけですから、食事もエラい時間が掛かります。
そうして何よりも、マウスを握るだけでピリピリ痛み、キーを打つのもゆっくり休み休み。よって、思うように原稿書きが捗りません。
それでなくても、上記の自宅&近所の事情により、集中力が著しく欠乏していて、ウーウー唸っているわけですから。
あー辛かった。
いずれにせよ、日常生活、原稿書きに集中できないことほど、私にとり、辛く悲しいことはありません。これができないと、自分が枯れてくる気がします。
それには集中力&想像力が必要です。それを可能としている日常が、どれほど静かで穏やかで平和か。そうして自分がどれほど健康体であるか。
普段意識することなどない、その“当たり前だと思っている当たり前ではないこと”…。それを今回深く認識し、そうしてそのありがたさに、感謝の気持ちで一杯になったのでした。
しみじみ。
屋根裏の小人たちに、淡い恋心抱くなんてこと、もう二度と致しません〜。