冬の岩手&秋田への旅
東京の冬は駄目です! 2月だというのに、いったいどーいうこと、この気の抜けたようなナマ温さは? あ〜〜、冬なのに、ピリッとしない!!
と言うわけで、苛々募った私は、先日、雪に埋もれる旅へ出掛けることにしました。
“さて、顔が割れるような寒さ&猛吹雪といったら、何処だろう?”
それも、数日で往復&滞在可能な場所は……。
結局、東北地方を目指すことに。岩手・平泉方面&秋田・横手&男鹿半島へ。
それも途中、“生暖かい関東”から“厳冬の北国”へと移り変わりゆく風景を、ゆっくり愛でたい…という思いから、選んだのはバスの旅。
まずは、武蔵野から23区、関東地方を通り抜け、東北道へ入ります(←ずいぶん大雑把な説明だ)。
でも……
福島県、そうして宮城県を通り抜けても、雪の欠片すら見当たりません。
焦り始める私。
そのまま、つまり、景色がまるで移り変わらないままに、岩手県へ。そうしてまもなく、第一目的の平泉・中尊寺に到着してしまいます。
“雪化粧のお寺”…を思い描いていたのです、が、あ〜残念!
本堂へお参りをした後、月見坂に沿って、荘厳な金色堂などを見学。長い歴史を静かに眺めてきたであろう、大木に見守られながらゆく、とても心地良い散歩道です。
途中で、“目のお守り”なるもの物を発見。日々の原稿書きで、目がショボショボする私にとり、これはとてもありがたい。さっそく購入します。
でも、気温は、うーん、東京と殆ど変わらない感じです。
↑ 平泉の中尊寺。
奥州藤原三代が、およそ100年に渡り築いた文化の息吹感じられる地。平安美術の宝庫。
さて、再びバスに乗り、いざ秋田県を目指します。
ボーッと外を眺めていると、何処からだったでしょうか。山を超えた辺りからか、眼下の“色”が急変します。そう、待ちに待った冬景色。白銀の世界。
息を呑むような美しさです!
太陽が姿を消す頃には、その美しさが一段と映えてきます。あぁ、冬の北国! いよいよ…であります。期待で胸が高鳴ります。
夜には、横手市へ入り、かまくら祭りを見学します。年に3日間しか開催されない、秋田の寒い冬を彩る風物詩。町全体で約100基作られるそうです。
その中で、水神様にお賽銭やお供え物を上げ、招待客は甘酒を御馳走になります。地元の人達との交流に、こころ和む瞬間です。
↑ 横手のかまくら祭り。
寒さの中、静かに灯る明かりに、ホッと癒されます。
屋台も数多く出ていて、凄い賑わいです。その中で、豚汁&きりたんぽを御馳走になります。嬉しい驚きだったのが、りんご売りのテント。計10種類は軽くあったと思います。その中に、カナダの裏庭にあった“クラブアップル(姫りんご)”を発見! 懐かしさのあまり、さっそく頂きます。
そうして、もうひとつ、今回の旅でとても楽しみにしていたのが、なまはげ見物。さっそく男鹿半島にある真山神社へ。
まずは、神社へお参りです。その後に、なまはげ伝承館へ向かいます。
“なまはげ”とは、“ナモミを剥ぐ”という言葉が訛ったもの。そして“ナモミ”とは、囲炉裏の端でじっとしている人の、手足に出来る火型のこと。つまり、それを剥ぎ取り、怠惰を戒めるのが、“なまはげ”なのだそうです(←これすべて、伝承館の方の御話の受け売り〜)。
ここでは、家の人達となまはげの問答が再現(?)されるのですが、これがとても興味深くて良かったこと。御国言葉が非常に魅力的でした。
↑ 男鹿半島・真山神社のなまはげ。
真山に鎮座する神々の使者、豊作・豊漁・吉事をもたらす来訪神と、地元で信じられ、伝承されているそうです。
その後、入道崎で“石焼き料理”を御馳走になります。
800℃程に熱した石を、汁の入った木桶の中に投げ入れ、そこに地元の海の幸を加え、味噌で味付けした、当地名物料理。なかなかオツなものでした。
↑ 男鹿半島北西端の岬“入道崎”に立つ灯台。大胆な白黒模様が印象的。
顔が割れそうな海風&猛吹雪に、奇声を発しながら疾走したくなるような快感を…。此処の朝陽&夕陽を、いつの日か眺めたいもの(“日本の夕陽百選”にも選ばれているそうです)。
そもそも、なぜそんなに寒い地が好きなのか…。
“なんでわざわざ寒い地へ行くかな? 暖かい東京の方が、過ごし易いじゃないか!”と、友人たちにもよく不思議がられます。
“寒い季節には、温かい地へ。そして暑い季節には、涼しい地へ行くのが、一番良いのだぞ”…とも言われます。
いえいえ、寒い時期には、より寒い地へ行くのが、良いのですゾ〜!!
それに、凍てつくような寒さの日、眼下に広がる景色の、澄んでいて美しいこと。空気がキラキラしています。あれに勝る光景には、なかなか出会えないもの。
そうして、こころも引き締まります。
それに、“白銀の世界”“しろがね色の世界”…。なんて美しい響きなのでしょう。
その“絵”といい、それを表現する“言葉”といい、とても繊細で詩的で、とてもアーティスティックでロマンティック。
さらに、雪が“余計なもの”を吸収してしまうのか、シーンと静まり返り、モノクロの世界であるところが、またたまらなく素敵です。
↑ 旅の途中で出会った、とても美しい空色。
シンプルで、余計な“色”も“音”もなく、分かり易くて、だからこそ深く味があって、とても美しい。
私の“北国の冬”への想いは、深まる一方です……。
↑ まるで墨絵の世界。