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こころ落ち着く瞬間、こころ落ち着く風景

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通訳・翻訳者リレーブログ

ゆるり穏やかな時間の中に、時々この身を置かないと、壊れて駄目になりそうになります。

〆切が立て込んだり、長いあいだ同じ場所&同じ姿勢で、同じことをしていると、何かを想うこころの余裕、想像力、発想の泉が枯れてくる時があるのです。
上空から天使たちは舞い降りて来なくなりますし、内なる声も聞こえなくなります。
そうすると、インタビューをやっていても、“この人のことをもっと知りたい”という欲が、思うように湧いてきません。話を膨らませる余裕がなくなります。
原稿を書いていても、文章や単語が出てこなくなります。英歌詞にそっと寄り添うような、素敵な日本語が生み出せず、悶々とし始めます。
気持ち良く仕事をすることが出来なくなるのです。

そんな状況に陥らない為にも、寝起き後の時間帯を、とても大切にしています。
朝食をとった後で、紅茶&甘い物をお供に、ゆっくりとチラシを眺め、朝刊を読み、そうしてのんびりストレッチ。

〆切が迫っていない時には、その後さらに、iPODにボーズのヘッドフォンを繋ぎ(←これがないと生きていけない!)、カーテンを思いきり開け放ち、陽光を浴びながら、読みかけの小説の一頁を開き、そうしてその物語の世界へ。
パソコンも開けず電話も取らず、半日でも1日でも、許される限りただひたすら、カメのような状態でいます。

何の生産性もない、何も起こらない、まるで刺激のない、とても静かな時間。
でもこれこそは、とても大切な瞬間だったりするのです。

そうしてまた、半日でも時間が作れた場合には、マウンテンバイクに跨り、近くをフラフラ流すことも。
私が住むこの武蔵野方面には、緑や草花、木々や土の匂い漂う空間が、今でも至るところに存在するのです。

先日も確定申告書を背負い、片道20分ほどかけて税務署へ。冬が完全に去りゆき、春が巡ってきたことを、こころと身体で感じながらの、恒例行事なのです。
今年は提出後の帰り道、マウンテンバイクを1日人間ドック(←バイクドック)に出し、そうしてコンパクト・カメラ片手に、神社や田畑、大学構内などに立ち寄り、馬の蹄の音や鶏の鳴き声を耳にしながら、のんびり歩きながらの帰宅。とても贅沢な数時間を過ごしました。

都会の喧噪も、物に溢れたデパートも、高層ビルから臨む夜景も、東京タワーの佇まいも、それはそれで惹かれるのですが、でもふとした瞬間に、こころが無性に欲するのは、そういう場所や瞬間では決してなく、この自然の香り、足元の土の感触、穏やかな時の流れなのだと、気づかされます。

先ほども、仕事机の横の窓を開けたところ、心地好い春風が舞い込んできました。
仕事中の自分を取り囲む、此処に在るそれとは、また別の重さの空気と、また別の早さの時間が、今日もまた、其処には確実に流れています。
その存在を再確認するたび、ちょっとだけ幸せな気持ちになれるのです。

日々の仕事の発想の元、想像力の源。
なくてはならない、この美しい時の流れ、この美しい田園風景。
最終的に恋しく想い、そうして追い求めるのは、結局のところ、そういう瞬間、そういう風景なのだと、いつも感じています。

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高校までをカナダと南米で過ごす。現在は、言葉を使いながら音楽や芸術家の魅力を世に広める作業に従事。好物:旅、瞑想、東野圭吾、Jデップ、メインクーン、チェリー・パイ+バニラ・アイス。

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