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桜咲くこの季節に想うこと

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通訳・翻訳者リレーブログ

桜の開花だより届くこの頃、思い出す過去の光景があります。
数年前のちょうど今頃、当時一緒に住んでいた愛猫、ヒマラヤンのヒースクリフが、突然の病に倒れ、あっという間に寝たきり状態になりまして…。
“あと数日の命か”と告げられたあの日。看病の合間の気分転換にと、マウンテンバイクに跨り、自宅近くの桜並木まで行ったのですが、そのピンク色に染まったトンネルくぐりながら、“あぁ、この桜が散る頃には、もうあの子は、この世にいないんだろうな”…と思ったら、それ以上その場に居続けることができなくなり、ギアチェンジし、猛スピードで、そこから立ち去ってしまいました。
あれ以来、桜咲く季節になると、この花独特の散るさまも手伝ってか、どうしてもあの子のこと、あの年のこころ想いが蘇ってきては、どうしようもなく、切ない想いに駆られてしまいます。こころがシクシク痛むのです。

先日、とてもなつかしい味との再会がありました。
その“姿かたち”を目にし、そうして口の中に入れた瞬間、“あぁ、これ、わたし知ってる!”と感じ、ちょっぴりウルウルしました。そうして、はっきりと思い出したのです。
そう、10代の頃“おみやげに”と、家族の者がよく持って帰ってきてくれた“小さなお菓子たち”。
味の記憶とは、なんとも不思議なもの。感動すら覚えます。
そうして何10年も経ったいまでも、変わらぬ形と味を提供し続けている店の、その商品に対する、かわらぬ想いに触れた気がして、幸せな気持ちになりました。
歳月が流れても、かわらぬ想い&かわらぬ品。とても素敵なことだと思います。

なつかしい話の続き……
“カーネル・サンダースおじさん、道頓堀川から無事救出される!”
先日のあのニュースを聞きながら、20数年前の自分のことを思い出し、自然と笑みこぼれました。
いえいえ、おじさんを投げ込むのを手伝った…わけではけっしてありません。ただ、優勝に沸いていたあの瞬間、あの場所に、幸運にも私も偶然居合わせたのであります。
と言うのも、大学の同時通訳クラスの、“大阪でのイベント通訳のアルバイト募集”に応募し、他大学の“卒業したら通訳になるぞ!”という鼻息荒い学生数人と共に、こじんまりしたホテルに合宿状態。約2週間、彼の地に滞在していたのです。
因みに私が担当したのは、某世界的メーカーの某人気ビデオカメラ・ブース。そこへいらした外国人バイヤー相手に、同製品のニュー・モデルに関し、あれこれ“通訳の真似ごと”をしていました。
その期間中のある夜、阪神が優勝を決めたわけです。
“ハレー彗星か阪神の優勝か”。当時からそう言われていたほどですから、街あげてのその喜びようは、もう半端ではありませんでした。
その夜、怖いもの見たさの私達は、大阪駅前⇒道頓堀近辺に繰り出し、“今夜はすべてタダや!”と言う威勢のいい声のする店に吸い寄せられ、“もうこれ以上、腹(はら)が受け付けませ〜ん!”…というほど山盛り頂き、そうして阪神ファンと共に、騒ぎの輪の中に紛れ込み、一緒に祝い、一緒に楽しいひと時…もとい…メチャクチャなひと時を、過ごしたのでした。
因みに翌朝も、“今日はすべてタダや!”という(昨夜とは別の)店で、ヴォリュームある朝食をとってのち、イベント会場入りしたものです。
とにかく、あの数日間は凄かった!! 社会人になる少し前の、とても楽しく貴重な、とても想い出深い、過去のひとコマであります。

そうして無事、社会人になった80年代半ば。当時の音楽界を賑わしていたのは、明るく能天気なLAメタル。
武道館ライヴでは、ドラマー(&ドラム・セット)が回転したり、ヴォーカルが客席上空を飛んだり、色とりどりの大風船が舞ったり。歌詞も“パーティー”“オンナ”“ウイスキー”などと、とにかくカラッとしていて明るい。かと思えば、美しいバラード曲もあったりと…。とても華やぎある楽しい時代でした。
ラット、モトリー・クルー、LAガンズ、ファスター・プッシー・キャット、ポイズン、ウォレント、ライオン、クワイエット・ライオット、グレイト・ホワイト、テスラ、キール、ドッケン、シンデレラ……。
取材したバンドも数知れず。独占企画・来日別冊も数多く企画&制作。“いい写真”を撮る為に、みんなで鎌倉や京都などへ、よく旅もしました。
それが何故か春先が、圧倒的に多く。ですからこの季節になると、色々な寺院での色々な瞬間が、鮮明に思い出されるのです。
その後、シアトルのグランジ・ブームが起こり、その内省的な音楽に辟易した私は、雑誌を離れフリーとなり、担当ジャンルを広げ、今に至っています。
そうしてここ10年ほどは、音楽ジャンルも細分化し、ひとつのジャンルがブームとなるような、こころ躍るような状況は起こらなくなり、ちょっと寂しい気もしていたところ。
それがここへ来てまた、このLAメタル組とあのタイプの音楽が、再結成し再び注目を浴び始めています。心底嬉しく思います。

そのフリーになってから、なかなか出来なくなってしまったこと。
それはずばり、長い旅。
次から次へと、あれこれお引き受けし、〆切に追われる日々を送る中で、どうしても長期の留守が出来なくなっています。
代わりに短期の国内旅行は、たびたびしています。しかしその為に、その前の数日間、数週間は、こころ落ち着かない日々を、過ごさなければなりません。“旅に出る日まで、ちゃんとすべて入稿できるのだろうか?”。ドキドキ焦っては、心臓潰れそうな毎日。
そんな思いをしてまで、どうして頻繁に旅に出るのか?
“其処に観たい風景が在るから”。とんだアホの戯言。でもそうとしか表現のしようがありません…。
ですからまぁ、このスリリングな日々も、“楽しみ”の前に、必ず通らなければならない道。そう自分に言い聞かせては、本日もまた焦りながら、バタバタ時間との戦いであります。

……と言うわけで、今週末から数日間、日本の春・桜を満喫する旅に出ます!

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高校までをカナダと南米で過ごす。現在は、言葉を使いながら音楽や芸術家の魅力を世に広める作業に従事。好物:旅、瞑想、東野圭吾、Jデップ、メインクーン、チェリー・パイ+バニラ・アイス。

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