錦秋の京都&奈良
“今年の紅葉は、格別に美しいよ!”
そんな周囲の声に、居ても立ってもいられなくなり、原稿の〆切を延ばして貰ったりと、スケジュール調整をした後に、先週、錦秋の京都&奈良へ向かいました。
◇◇25日(水)◇◇
朝5時起床。6時出発。
東京駅で、朝食用のサンドウィッチ&コーヒー購入。7時10分発の新幹線に飛び乗ります。
9時30分、京都駅着。
予約しておいた駅前ホテルへ直行。散策に不要のものを、フロントに預け、荷物を一気に軽くし、都内の地図を貰い、これからの予定を再確認。
そうして、JR⇒地下鉄⇒バス…で、醍醐寺へ。
“音楽の女神”弁才天が祀られている、弁天堂の横の池で、いきなり足が止まります。静かに揺れる水面に映る、その艶めかしい絵は、息を呑むほどの美しさ。まるでモネの世界です。
次回は花見の頃に訪れようと、心の中で誓います。
帰りはのんびり散策しつつ、約15分後、再び醍醐駅へ。
地下鉄⇒JR…で、東福寺へ。
改札口からの大混雑ぶりに絶句。駅前からの道程を確認する為の地図を、思わずポケットの中に仕舞い込みます。
人に押されながら、やっと足踏み入れた境内では、微光に照らされる木々の下の苔や、お寺を囲む塀の元の影に目がいきます。
通天閣から臨む深紅の海は、噂どおり圧巻。自然の織り成す芸術作品とは、本当に美しいもの。
それにしても、この人・人・人。“止まらないでください!”と絶叫する警備員。でも、通り抜けるだけでは、何の為に訪れたのか、分からないでしょうに…。
そんなことをブツブツ言いつつ、再びJRに乗り、京都駅へ戻ります。
構内レストラン街でがっちり夕食、近くのコンビニでケーキ&コーヒー購入後、7時過ぎにホテル入り。
ひと息ついてから、ライトアップの高台寺(ねねの寺)&清水寺周辺を散策のつもり…が、寝不足がたたったのか、テレビを観ている内に、いつの間にか夢の中へ。
◇◇26日(木)◇◇
朝5時半起床。6時45分、ホテルでビュッフェ朝食。
8時半ホテル発。いざ奈良方面へ。
電車を乗り継ぎ、室生口大野駅へ。
此処から室生寺へ向かうバスは、僅か1時間に1本。タイミング悪く、今回は先の便が出たばかり。タクシーも殆ど通らず。で、駅周辺をのんびり散策しながら、50分ほど待ちます。
室生寺に着いたのは、京都を出発してから、約2時間半後。
まずは帰りのバスの時刻を確認。
太鼓橋を渡り、深呼吸しながら、ゆっくりと御堂と五重塔を見上げます。
ああ、いつ眺めても、美しい……。
途中、石段の上に落ちる葉々に、目がいきます。どれひとつとして同じ色のものはなく、それはもう、奇跡のよう。
それにしても、四季折々の自然と見事に調和した世界の、何とも魅力的なこと。それは、周囲の木々を伐採し、威圧的な建物を築き、“どうだ、凄いだろう”という類いのものとは異なり、心に優しく溶け込みます。
本日は張り切りながら、シダ群落を通り抜け、石段を伝いながら、心地好い汗を掻きつつ、足をガクガクさせながら、夢にまで見た奥ノ院へ。実は6月に訪れた際、小雨が降っていた上、人影もなかった為に、残念ながら断念したのでした。
辿り着いた其処で、持参のお茶を呑みながら、ひと息。そうして私としては珍しく、幸福守なんぞを購入後に、いざ下山です。
バス⇒室生口大野駅⇒電車…で、近くの談山神社駅へ。
1時間に2本程しかないバスに飛び乗り、約30分の後に神社到着。
此処は勝運の御宮、大化の改新発祥の地。
紅葉に抱かれた十三重の塔は、他では見られない光景。一度は訪れたいもの。
日々、“音まみれ”の世界で、カリカリ〆切に追われている身に、鳥のさえずり、葉々のそよぎ、苔の香りは、心身に効く最高の栄養剤。
京都へ戻る途中、奈良駅へ。
そうして奈良公園まで、まっすぐ歩いて行きます。
実は、6月に撮った亀の写真、足がどれも切れていて、気になって仕方がなかったので、また同じ池へ行きたいと、思い続けていたのです。
が、残念ながら、一匹も遭遇できず。
薄暗くなっていたからか、それとも、もしかして、冬眠中…か…?
仕方なく、出店を覗きつつ、先程来たばかりの道沿い、暗がりの中、奈良駅⇒京都駅へ。
京都駅近くで夕食をとった後、コーヒー屋でデザート&カフェラテ購入後、9時近くにホテル入り。
シャワーを浴び、テレビでニュースを観た後、11時に就寝。
◇◇27日(金)◇◇
朝5時半起床。6時45分、ホテルでビュッフェ朝食。
8時半チェック・アウト。駅前ロッカーに荷物を預けた後、バスに乗り、銀閣寺へ。
旅の間バスに乗るのもまた、楽しみのひとつ。見慣れぬ景色を眺めるのは、ワクワクするほど、大好き。
予想していた渋滞もなく、約45分後に到着。
季節により異なる表情を見せる、生け垣の間に続く参道をとおり、中門へと向かいます。
印象的な向月台を眺めながら、緑に囲まれた展望所へ。人も少なかった為に、其処でしばらく佇みながら、とても贅沢なひと時を過ごします。
月待山。背後に聳える山の名。その素敵な響きの名は、私のお気に入り。
御寺(観音殿)は、4月に訪れた時に引き続き、只今修復中。職人たちの仕事を見学。あと何年かかるのだろう。とても細かで高度そうなその作業に、しばし観入ります。
雪の頃は、どんな顔を見せてくれるのでしょう…。
総門をくぐった後、大好きな哲学の道へ。
4月の桜の頃とは打って変わり、人もまばら。あちらこちらにレンズを向けながら、のんびりゆったり南禅寺を目指します。
境内に入り、雄大な三門や、琵琶湖水流れる水路閣周辺など、1時間ほど散策の後、近くに停留するバスに飛び乗ります。
50分後、嵐山へ到着。
まずは渡月橋近くで、遅めの昼食。天ぷら蕎麦セット。
デザートに、隣の茶屋で、抹茶アイスクリームを買い、渡月橋近くの河辺に腰を下ろし、徐々に色移ろいゆく夜空を眺めます。
目の前に広がる風景の色彩と、差し込む光りの強さとが、今年4月と6月とはまるで違う。季節や時間帯により、異なる顔を見せてくれる所は
、それだけでも、とても魅力的に感じられます。
約2時間後、バスに乗り、50分で京都駅へ。
ロッカーの荷物をピックアップ、生八ツ橋、桜餅、草団子、車内晩ご飯用・柿の葉寿司&お茶を購入後、8時近く発の新幹線に飛び乗ります。
余談ですが、景色を楽しみながら帰ろうと、わざわざ“ひかり”にしたのですが、思いきり単なる暗闇でした。それはそうだ。夜中ですから。
嗚呼、大誤算。
夕食の後、旅の間一度も手にすることのなかったiPOD取り出し、いつもどおりに、モトリー・クルーの“Home Sweet Home”を聴きながら、近づく大都会の煌々と輝く夜景を眺めながら、“自分の居場所”を再確認、東京モードにギアチェンジします。
考えてみれば結局、夜のライトアップ見学は、気が向かず、今回は取りやめ。気が向かないことを、無理矢理やると、ろくなことはないし、やりたいことを、すべてやってしまったら、その地へは、二度と戻っては来られない気がするので、やり残しがある、このくらいが、ちょうど良いのだと思いつつ…。
さぁ、再訪はいつにしよう。