初めて見る懐かしい地、同じ場所の違う顔
懐かしい風景。
いまでもひっそり息つく処が、この国には、まだまだ在る。
そこにはゆらり、緩やかな時間が流れている。
日々喧騒の中にいたり、何かに追われている者にとり、それは異次元の空間。
いにしえの町にタイムスリップしたような、そんな錯覚に陥る。
【↑ 7月7日、2:39 pm。近江八幡】
車での移動。
それは速いだけの新幹線とは異なり、道中の景色がゆっくりと目に入ってくるから、とても心地好い。
それは谷間や川沿いの村々だったり、丘に面した田畑だったり、奇抜な色の橋だったり、雲の形や流れや、空色だったり…。
初めて見る、懐かしい地。
幼き頃のいつからか、こころの何処かに在った、見慣れた風景。
この国は、新鮮な驚きに溢れた宝庫。
【↑ 7月7日、2:45 pm。近江八幡】
♪ ♪ ♪
夕焼け。
辺りを包み込む夢幻的な色彩、キラキラした湖面に映る淡い光、強い光。
その移ろいゆくさま、それすべての瞬間は、言葉にならないほどに美しく。
その中に静かに身を置くと、単純に、幸せ感じてしまう。
此の地球に、畏敬の念を抱く。
1日を照らしていた陽が、こちら側から姿を消し、まだ見ぬあちら側、遥か彼方の地を照らす。
身の引き締まる思いがする。
【↑ 7月7日、6:32pm。琵琶湖】
【↑ 7月7日、7:20pm。琵琶湖】
朝焼け。
湖畔では、ジョギングしたり、犬と散歩したり、太極拳に興じたり、釣竿を垂らしたり。
穏やかな朝の、至福のひと時。
それぞれが思い思いに、自然の恵みを享受する。
儚きその一瞬を、そっと抱き寄せながら、1日の始まりに、胸膨らます。
あちら側、遥か彼方の地を照らしていた陽が、ふたたびこちら側に顔を出し、この地を照らし始める。
当たり前だと思っている、でも当たり前ではないこと。
それを前にした時の想いを表わす、適切な言葉など見つからず。
絶対的な自然の力を前に、言葉というものの無力さ実感する。
自然とは、なんて偉大な存在か。その織りなす美、雄大さに勝るものはないと、つくづく。
この地球を、愛おしく想う。
【↑ 7月8日、5:22am。琵琶湖】
【↑ 7月8日、5:36am。琵琶湖】
朝陽と夕陽。
湖・海・山・田畑…。照らされる景色により、顔色が異なる。
それは同じその地でも、季節によっても、表情がまるで違う。
そうしてそれは、“水”のある風景が、もっともよく映える。
朝焼け夕焼けには、水がとても似合う。
♪ ♪ ♪
昼時の奈良公園。
ひっそりひと目から離れた、木陰のその空間だけが、キラキラ眩しく光る。
それはまるで、上空を舞う天使たちを待つ、秘密の腰かけ。
あるいは、彼らの戯れのためにある、夏の遊園地。
【↑ 7月8日、12:28 pm。春日大社・参道入口】
♪ ♪ ♪
碧い時間。
自然と人工物の連弾。そのハーモニーは、その時々により、音色が異なる。
そのステージに耳傾けられたのは、ほんの僅かな間。その後の展開が気になるも、そっと家路に就く。
【↑ 7月8日、7:27pm。双葉インター】
♪ ♪ ♪
自然の織り成す夢舞台、一瞬一瞬の時を前に、シャッターを切る指先が震える。
その瞬間瞬間、溜息ついたり、感嘆の声をあげたり、息をのんだり…。
その場に佇み、しばし時の経つのも忘れる。
これから出会うであろう、自然の絵模様、其処を舞う音符たち。
そのさまざまな色彩や音色を、いま此処で想像するだけでも、ひとりこころ躍り、思わず笑みこぼれる。