2008年・めぐり逢った本たち
何かが何かへと繋がってゆき、そうして素敵な出会いに恵まれたり、新しい世界が開いてゆくことは、人生の中で多々ありますが、私の場合、読書もそんな感じだったりします。
昔は書店でゆっくり選んだものなのですが、最近はそういう余裕がない為に、もっぱらネット注文中心です。
友達に薦められたり、新聞の書評を参考にしながら、気になる作品があると、メモ帳に記入しておき、ある程度の冊数がまとまった時点で、アマゾンを開きます。そうしてチェックしている内に、決まって“この商品を買った人はこんな商品も買っています”コーナーの深みに嵌まってゆき、気がついたら、最初に何を探していたのかを忘れ、とんでもない方向へ行ったり…。そうして“カゴ”の中に、一度に何10冊も放り込み、整理するのが大変なことも、良くあります。
でも、そうした本をめぐる旅の中で、素敵な本との出会いの多いこと!
私の場合、気になった作家やテーマと出会うと、その作家の作品やテーマのものを、続けて読むことが多いですね。
そうして今年は特に、10年20年も前に読んだものを、再度読み返すことが多かったように思います。
2008年・めぐり逢った本たち、ざっくり大まかに紹介すると……
まず、年末年始の寒く慌ただしい時期に、何故か手にしたくなるのが、山崎豊子氏の作品。今年も『ふたつの祖国』(全3巻)を読んだ後に、『女の勲章』(上下巻)を読み、その世界にどっぷり浸かりました。
その後は伊集院静氏。『乳房』『白秋』『海峡』『白い声』と、続けて読みました。
そうして『死神の精度』『重力ピエロ』『アヒルと鴨のコインロッカー』『魔王』と、伊坂幸太郎ワールドに引きこもり。数年前から時々手にはしているのですが、今年は一気に4冊、読み返してしまいました。
それから大好きな東野圭吾氏。今年読んだのは3冊。『ダイイング・アイ』『流星の星』『さまよう刃』。
仕事関連で真っ先に思い出すのは、『わが青春のロック黄金狂時代』。私の憧れの東郷かおる子氏の著書で、文字通りロックが熱かった時代の話満載の、ワクワクするような取材裏話集です。
同じく熱かった時代の裏話集として、『at武道館をつくった男 ディレクター野中と洋楽ロック黄金時代』も、最高に面白かった。こちらもまた、私の尊敬するレコード会社ディレクター・野中氏のことを綴った1冊です。
モトリー・クルー新譜発売時、彼等のインタビュー&原稿書きをしていた頃は、あの分厚い自伝的小説『Motley Crue: The Dirt』を読破。この本はその後にインタビューしたミュージシャンたちも、繰り返し話の中で掲げていたほど。その内容に関し、インタビュー中で盛り上がるたび、“あぁ、読んでて良かった”と思ったものです。
チャート・インしたもの、世界情勢ものやハウツーものは、あまり読まない方なのですが、そんな中でも今年は、家に転がっていた『在日』(姜尚中)と、『貧困大国アメリカ』(堤未果)辺りが、印象に残っています。あっ、オバマ本も控えていましたっけ。
昔々買ったはずのもので、再び読んでみたくなったものの、いくら掘り起こしても見つからず、再び購入してしまった後に、本棚の奥の奥から出てきて、ハードカバー1冊に文庫本2冊揃っているような作品も、そうとう数あります。
今年は白石一文氏。『見えないドアと鶴の空』『私という運命について』『一瞬の光』『不自由な心』『すぐそばの彼方』『もしも、私があなただったら』…。買った後に、同じものが本棚から出てくるわ、出てくるわ。鼻につく面も多い白石氏作品なのですが、それでも忘れた頃に手にとっては、“あっ、やっぱりダメだ!”…の繰り返し。
話は脱線しますが、所有冊数が最も多いのは、私が最も好きな英文学『WUTHERING HEIGHTS』(EMILY BRONTE)でしょうか。先程数えたら、計4冊ありました。あぁあ。
五木寛之氏の『恋歌』と『青年は荒野をめざす』辺りも然り。最初に購入したのは、もう20年以上も前のことだと思うのですが…。と思いながら、今年も読んでしまいました。
上記2冊を読んで痛感したのは、“人生やっぱり旅だよなぁ〜”ということ。そうして直後に手にしたのが、『ガダラの豚』(中島らも)、『遠野物語』(柳田国男)、『何でも見てやろう』(小田実)、『ディングルの入江』(藤原新也)。
その後、20代の頃に夢中で全巻を読んだ、沢木耕太郎氏の名作『深夜特急シリーズ』へ移動。ついでに、大好きな『凍』(同じく沢木氏作)も読み直し。あれはやっぱり凄い!
そうやって本を通して、旅を続けていく内に、旅や出会いの中に感じる、“素敵な縁や、目には見えない大切なものの存在”を強く意識し、“やっぱり龍村仁氏だよなぁ〜”と、本棚の分かり易い場所に置いてある、『地球(ガイア)のささやき』と『魂の旅 地球交響曲第三番』を再び手にし、再び深い感銘を受けます。
引き続き、その中に登場するSHIRLEY MACLAINEの名作『OUT ON A LIMB』も探し出します。これまた20代の頃、当時仲の良かった人に薦められ、夢中で読んだ作品。
その後、龍村作品に登場する、エンヤのアルバムを聴きながら、同じく登場する大好きな写真家・星野道夫氏のエッセイ集『長い旅の途中』と『旅をする木』を再び手に。星野作品コレクターの私が、中でも大好きな2冊です。彼の描く世界は本当に魅力的。新しい作品をもう見ることが出来ないのは、非常に残念でなりません。
で、その勢いで、星野氏のムースの写真が表紙を飾る『アラスカ物語』(新田次郎)を。アラスカに定住した日本人・フランク安田の生涯を綴った作品。アラスカは、いま一番行ってみたい地なのです。
その後、直子夫人が書かれた『星野道夫と見た風景』を読み返します。これまた何度か読んでいる、とても温かく素敵な作品です。そう言えば、上述の『魂の旅 地球交響曲第三番』の表紙もまた、星野氏の写真なのですよね(こちらは白熊)。
その後、龍村&星野熱がちょっと過ぎ去った頃に、『ALICE IN WONDERLAND/THROUGH THE LOOKING GLASS』(LEWIS CARROLL)に掛かります。日々忙しく動き回っている友達を眺めている内に、アリスをふしぎな国へと誘い込む、“白ウサギ”を思い出し、無性に読みたくなったのです。また以前にこのブログでも書いたとおり、大好きなティム・バートン&ジョニー・デップのコンビにより、映画化の予定なので、グッド・タイミングでもあります。しかし、あれはやはり名作中の名作ですね。この年齢でも、とても読み応えがあります。
…と、今年も結局、『竜馬がゆく』(司馬遼太郎)の竜馬は、私の中では相変わらず生きた
ま(最終巻未読)。それから、久々に読みたいと思っていたJOHN IRVINGの『A CIDER HOUSE RULES』と『A PRAYER TO OWEN MEANY』も、結局開けず仕舞いであります。
そうしていま、エンヤ&そのソングライターがインタビュー中で、“曲づくりの最中に影響を受けた”…と言っていた、『A CHRISTMAS CAROL』(CHARLES DICKENS)を本棚の奥から引っ張り出し、読み始めたところ。やはりこの時期は、この作品でしょう!