2008年・一緒に仕事した人たち
今年も色々なアーティストと仕事をしました。インタビューは、月5—10本といったところでしょうか。素敵な出会いの多い、とても充実した1年でした。
中には何故か、非常にぶっきら棒な人もいました。そうしてそういう時に限って、電話インタビューなのですから、参ってしまいます。
来日インタビューで、酔っ払った大御所を相手したこともありますし、直前に彼女と大喧嘩し、御機嫌‘超’斜めの御方のインタビューをしたこともあります。またブンブン疾走する新幹線の中や、ガンガン大音量響く楽屋で取材したこともあり…と、もういい加減この年になると、怖いものなど今更ありません。その人が目の前にいる限り、最終的には何とかなるものですし。
でも電話インタビューの場合は、相手の顔も見えず、何故そんなに不機嫌なのか見当もつかず、よってどう対処すれば良いのか、困ってしまうのです。
何はともあれ、2008年・特に印象に残っているアーティストと言えば……
★貴方達はやはりさすがです賞: DREAM THEATER
その技巧派プログレ・サウンド同様に、いつも心地良い、内容の濃い、知的な会話をしてくれるメンバー。今年は南米ツアー中の彼等をキャッチ。
ブラジルの有名なビーチ臨むホテルに滞在中で、挨拶代わりに、目の前に広がる光景を、こと細かに説明してくれたメンバー。さすがは素敵な歌詞を書く人なだけあって、その風景描写…表現の美しかったこと! そんな彼のイキな心遣いのお陰で、その余韻を感じながらの、とても素敵なインタビューと相成りました。
最新作は『GREATEST HIT+21 SONGS』。
★“完全復活おめでとう!賞”: JOURNEY
フィリピン出身のアーネル・ピネダ氏を、ヴィーカルに迎えて再出発の彼等。一世風靡した70-80年代の頃は、“感傷的なロックを演るメインストリーム・バンド”として、あまり好きではなかったのですが、こうしていま聴き返してみると、その楽曲の良さに改めて唸ってしまいます。“クオリティーの高い曲をもっている”。これはキャリアの長いミュージシャンに共通すること。
ネットを通して“発見した”というこのニュー・ヴォーカリストが、とにかく素晴らしい! 90年代にはパッとしなかった、彼等の今後に期待大です。
最新作は『REVELATION』。新曲+リレコーディングの2枚組。
★文句なしにカッコぞ!賞: MOTLEY CRUE
泣く子も黙るバッド・ボーイズの代表格も、いまや40歳代後半に突入。よくぞみんな生き長らえました! そうして変わらず、ユーモラスで若々しくて、色っぽくて毒があってワルで、とても良い感じに年を重ねていて、ちょっとした感動です。
彼等の自伝的小説『MOTLEY CRUE: THE DIRT』もお薦めです。80年代LAメタル・シーンのハチャメチャぶりが凄い。凄いし、とても懐かしい。ぜひ原書で!
最新作は『SAINTS OF LOS ANGELES』。文句なしにカッコいい。
★将来について真剣に考えていますね賞: DOKKEN
こちらもまた、80年代には何度もインタビューしているバンド。その後、シアトル・グランジが出て来て(嫌だったわなぁ、あの内省的バンド達の出現は…)、他のLAバンド同様、地味な活動に入ってしまいましたが、今回見事完全復活。アルバムを出し、全米ツアーにも出ています。音楽…アルバム…CDの存続の危機を嘆いていましたが、貴方達ならきっと、生き延びられると思います。
最新作は『LIGHTNING STRIKES AGAIN』。
★今後期待していますよ賞その1: CANDICE
LAで歌手&女優として活躍中の可憐な彼女。幼年期のこと、好きな音楽のこと、いま凝っていること等々、レコード会社用オフィシャル・インタビューは、1時間を超えるほどの大盛り上がりでした。今度は日本で、一緒に美味しいスシでも食べに行きましょ!
最新作は『IT’S ALWAYS THE INNOCENT ONES』。
★その2: JUSTIN NOZUKA
アメリカ生まれのカナダ育ちで、お父さまは日本の出身。とても繊細な歌世界をもつ男の子。歌も上手いし、曲づくりも絶妙。今後期待大のニューカマーです。
最新作は『HOLLY』。
★沖縄に詳しいですね!賞: THE STILLS
カナダはモントリオール出身のオルタナティヴ・バンド。今年も多くのカナダ人と話しましたが、その中でも彼等は特に心に残っています。と言うのも、とにかく日本、その中でも特に沖縄が好きで、かつ詳しくて。例えば、ゴーヤー・チャンプルーも大好きで、“沖縄のトーフは、なんで東京のそれよりも硬いのさ?”…などと、返答に困るような質問をされ、困ってしまった私であります。
最新作『OCEANS WILL RISE』は、沖縄の海での体験に触発されて出来た作品だそうです。
★いつも楽しい話をありがとう賞: THE SUBMARINES
カップルによるユニット。約1年ぶりの取材。女性はあのスコット・フィッツジェラルドの曾孫で、男性は中東で幼年期を過ごしたこともあり、英米文学から世界情勢までと、いつも幅広いテーマを網羅した、楽しいインタビューになります。今年は、アメリカ大統領選や同国の現状、そうしてオバマ次期大統領の未来について、熱く熱く語ってくださいました。
ニュー・シングル“You Me and the Bourgeoise”は、iPHONEのTV-CMに起用されています(インストゥルメンタル・ヴァージョンの場合もあり)。
最新作は『HONEY SUCKLE WEEKS』(2009年1月21日発売予定)。詩的で美しい色彩世界が魅力。
★今度こそ本当に来日してくださいよ!賞: GARY MOORE
毎年のようにアルバムを出し、毎年のように取材している、ベテラン・ギタリスト。“精力的にライヴをこなしていると、それだけ曲がどんどん出来てくるんだよね”と言っていましたっけ。
いちファンとして聴いていた当時は、メロディアスなハードロックがウリだったのですが、ここ数年はブルースに傾倒しています。インタビューのたびに、“そろそろまた真っ直ぐなロックが聴きたいなぁ”と訴えていますし、“いい加減、来日して欲しい!”…とも伝えていて、本人もその気になっているようなのですが、さぁ2009年にはその願いが叶うかな…。
最新作は『BAD FOR YOU BABY』。今回もまたブルース色全開の作品。
★今年NO.1アルバム: ENYA『AND WINTER CAME…』。JUDAS PRIEST『NOSTRADAMUS』。JOURNEY『REVELATION』。LENNY KRAVITZ『LOVE REVOLUTION』。
余談——。
★スケジュールの都合上、引き受けられなくて残念でした賞: IRON MAIDEN、夏の野外フェス通訳。BOZ SCAGGS、来日取材。
トリ——。
★何が何でも一生ついていきますよ!賞: JUDAS PRIEST
70年代から“メタルゴッド”として、HR/HM界に君臨してきた彼等。オリジナル・メンバーでカムバックしてからは、毎年のように話していますが、前回
インタビュー内容を覚えていて、びっくりしたことが、一度や二度ではありません。とにかく温かくて穏やかで、紳士的で色気があって、本当に心底魅力的な人たちです。惚れ惚れ。
9月には久々に、武道館アリーナ前方席で、いちファンに戻った気持ちで、彼等のライヴを楽しみました。昔のようにステージ左右上下を走り回るようなことはないものの、そのパフォーマンスは、私が10代だった頃とまるで変わらず。今後の活躍を心から祈っています。
最新作は『NOSTRADAMUS』。極上のコンセプト・アルバムです。
ミュージシャン、そうして音楽って、本当に素敵ですね!
さて、来年はどんな人たちと出会い、どんなアルバムを聴くことが出来るでしょうか。楽しみです。