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この1週間のあれやこれや

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通訳・翻訳者リレーブログ

【インタビュー翻訳】
数日前まで、あるジャーナリストが行なったインタビューの翻訳に、取り掛かっていました。その人が文字に起こしたものの、英日翻訳です。
こういう仕事も、時々頼まれるのですが、耳で聞き文字に起こす作業とは異なり、とにかく難しい。
と言うのも…
会話とは、それが耳に入って来る段階で、必要な情報(単語)とそうではない情報(単語)とを、無意識の内に聞き分け、そこに織り込まれたメッセージを理解する上で、特に必要ではないと判断したものは、無意識の内にどんどん落とし、そうしてその話の全体像を掴もうとします。
テープ起こしの場合も然り。耳で聞き分けつつ、その作業をどんどんやっている。そうしていかないと、すべてがボヤけてしまい、言いたいことも伝わらなくなります。
ところが、目の前に文字がずらり並んでいると、そのひとつひとつが、どうしても気になってしまう。そうしてひとつも落とさず、順番に丁寧に追ってしまう。追ってしまいたくなる。そんなことをしている内に、自分でも何が何だか、分からなくなってしまう。木ばかり気にしている内に、森が見えなくなり、やがて陽が落ち、そうして迷子になってしまう。そんな感覚です。
ですから、同じ内容のインタビューでも、わたしの場合は、テープ起こしでしたら、とても速く上手く訳せます。しかし文字に起こされたものの翻訳となると、時間が掛かるし、非常に難しく感じます。
余談ですが…
同じこのテープ起こしでも、人のやったインタビューの起こしは(これまた時々頼まれるのですが)、またちょっと難しい。と言うのも、インタビューが行なわれた時、その場に居合わせていない場合、そのミュージシャンの人となり、その時のご機嫌、その場の雰囲気が、イマイチ掴めない。これが意外と大事なことでして。その上、そのインタビュアーが伝えたいことが、テープを聞いているだけでは、把握し辛い(…ことが多々ある)ので、正確でメリハリのある文章に起こすのが、何かと難しかったりします。
やぱり…
自分が直接行なったインタビュー&その起こしが、一番やり易いし、何よりも、とにかく楽しい。
ただし…
他の人のインタビューは、質問の仕方や話の持って行き方などなど、聞いているだけで、色々と勉強にはなります。

【口調】
先程入稿した、ある翻訳原稿。
相手はとにかく“句読点のない話し方”をするアーティスト。だから非常に大変。同じように、句読点のない起こし英文の場合、そのまま句読点なしで、サササッと訳してしまうべきか否か。そのままやってしまうと、非常に読み難く、“下手な翻訳”…との印象を与えかねない(濡れ衣!)。でも考えてみれば、それもまた、このミュージシャンらしさ、その人の特徴なわけで、ですからそれで良い…と解釈すべき…なのか。
もうひとつ…
通訳者とは、その相手の口調に合わせて、訳出しをすべきか否か。つまり、早口の人はこちらも早口で(そんな馬鹿な)、喧嘩腰の人の場合はこちらも喧嘩腰で…か(…そんなことあり得ないな)。
それから更に…
明らかに、(ミュージシャンを)挑発しようとしているインタビュアーが相手の場合、どうすべきか。
そのまま通訳してしまったら、ミュージシャン側は気分を害し、最悪の場合、それがベテランの域に達していない人だったら、尚更のこと、プリプリ怒りながら、部屋から出て行ってしまいかねない。
この仕事を始めたばかりの頃は、そういうことで、そうとう悩みました。
で、結論としては…
言わんとすることが伝わらない翻訳文では、どう考えてもやはり、まずい。かと言って、アーティストの色、元文の味が伝わらなくなってしまっては、これまたよろしくない。忘れてはならないのは、こちらは創作者でなければ、主役でもなく。あくまでもフィルターである…と言うこと。
であるからこそ…
こちらが相手と一緒に、泣いたり喚いたりする通訳ほど、滑稽なものはなく。どんな場面でも、どんなことがあっても、こちらは淡々とさらりと冷静に、存在自体を感じさせないくらいに…が一番いい。
そうして何よりも大切なのは…
アーティストの気分を害するようなことは、どんなことがあっても、してはならない…と言うこと(…したくもない)。
つまり、例えインタビュアーが挑発しようと、喧嘩を売ろうと、何しようと、こちらはそれを和らげつつ(もちろん内容が変わらない程度に…ですが)伝えること。それを忘れてはならない…と思う。

【最も大切なこと】
仕事で最も大切なこと、それは時間配分・集中力・睡眠時間・ぼんやり時間。もうこれに尽きると、常々思っています。
時間配分: 〆切が守れるよう、そうして仕事の品質を下げないで済むよう、入れ過ぎはよくない。心身にも毒でしかない。かと言って、スカスカ過ぎても寂しい。とにかくバランスよく。スケジュール管理、これを上手くやらないと、何も始まらない。
集中力: 〆切迫る、頑張って書き上げないと…。そう呟きながら、パソコン前に座りつつ、でも気づいたら“今晩は何を食べようかな”とか、“明日は何を着ていこうかな”などと、そんなことばかり考えている。そういう場合も、多々あります。
一応焦るも、でもどうにもこうにも集中できず、“天使たちよ、お願いだから、早く舞い降りて来て!”。こころの中、そう叫んではみるものの〜(-.-)
逆にある瞬間から、その世界に物凄く入り込み、気がついたら数時間、夢中で文章を書いていた…ということも。
これもまた、天使たちの仕業。本当にありがたいものです〜(*^_^*)
睡眠時間: “腹が減っては戦はできぬ”…とは言いますが、でもわたしの場合、“腹が一杯では眠くて使いものにならぬ”…でありまして。ですから、腹はほどほどに。七分目くらいでいい。問題は、この睡眠。そう、“眠いと戦はできぬ”…なのであります。
とにかく睡眠不足は、およろしくない。
ですから…
例えば、寝ずに明け方まで、原稿書きをしていた場合。その後に、必ず寝ます。そのままその日1日を過ごすようなことは、絶対にしません。ですから、貫徹しなければならないような、そんな原稿を抱えている時は、その翌日には、絶対に予定は入れません。そう、〆切日が翌朝一番の場合、少なくともその日の午前中は、開けておくようにします。それくらい余裕のある毎日でないと、わたしの場合は使いものにならない。
ぼんやり時間: つまり、ボーッとすること。これが一番大事な瞬間…かも知れない…と思っているほど。一杯一杯だと、何も生まれ

い。発想の泉が枯れてしまう。余裕や余計なことや無駄なこと。これがないと、仕事は上手く回らないし、だいたい自分が可哀そうだし、人生そのものが、楽しくない。

【シャガール展】
数日前、念願の『シャガール展』へ行って参りました。
本当に色彩豊かで、魅力に溢れた世界。会場にいる間中、こころほっこり、微笑みっ放し。
“あの、すみません。これ、くださ〜い!”。部屋の角っこで、膝に毛布を乗せ、椅子に座っている学芸員たちに、そう言いたくなるような、そんな素敵な絵が、あちらこちらに何枚もありました〜
(^−^)
アートとは、こういうのが、やはり好き。音楽でも絵画でも写真でも…。“あぁ美しいな”“あぁ楽しいな”“あぁ凄いな”“あぁ幸せだな”…と、ワクワクこころ躍るようなものが、一番いい。しかめっ面で接しなければならないもの、頭を使わなければならないものは、わたしはちょっと勘弁です。
帰り道、赤色が印象的な、美しい額入り絵を購入。これ1枚で、部屋がいきなり明るくなった感じがします。
余談ですが、色々な楽器を手に持ち&肩に掛けながら、軽やかに闊歩する、上野の森に棲む音楽家の卵たち。とてもキラキラしていて、素敵でした。

【同窓会】
一昨夜、雑誌社時代の仲間たちが、久々都内に集結。
編集長、編集部員、海外特派員、カメラマン、デザイナー、漫画家、印刷会社担当者。オールスター勢揃い。
…にも拘らず、私は行けず。実は同夜、インタビューが(それも2本も)入っていて、何とかしようと思ったのですが、でもどうにも動かすことができず、泣く泣く断念。グッド・グリーフ。
ほんと、あの7年間は、クラブ活動のような日々で。音楽愛好会…みたいな。愛してやまない“音楽”という共通項があるからこそ、分かり合える仲間たち。戦友。
プライベートでも、何かあると、何も言わず嫌なことには触れず、でも必ずそばに居てくれる。ただ居てくれる。あるいはメールをくれる。ただそれだけ。でも、だからこそ心地好く。あの距離感、あのさり気なさ。それがいつも嬉しくて。そうそうめぐり会えるものではない。
ああ、その場にいたかったのになぁ…。

【音符】
週末、外出先でふらり入った可愛らしい店で、ト音記号の形をした、布製のとても素敵なオーナメントを発見。クリスマス・ツリーに飾るもの…らしいのですが、わたしはストラップとして、さっそく携帯にぶら下げてみました。
音符って、眺めているだけで、なんだかとっても嬉しくなります〜♪♪

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記事を書いた人

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高校までをカナダと南米で過ごす。現在は、言葉を使いながら音楽や芸術家の魅力を世に広める作業に従事。好物:旅、瞑想、東野圭吾、Jデップ、メインクーン、チェリー・パイ+バニラ・アイス。

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