東北ぐるり雪見の旅
カナダはロッキー山脈の麓で、幼年期を過ごした者にとり、東京のこの“曖昧な冬”は、どうにもこうにも物足りない。
降るのか降らないのか? 温かいのか寒いのか? どっちつかず、煮え切らないその様に、腹が立ったり。雪がちょっと降っただけで、電車が止まるという、その軟弱ぶりに辟易したり。
苛々…いらいら…イライラ。
…と思っていたら、ある日ふと、生温かい風を全身に感じ、えっ? もう春もすぐ其処? 曖昧なまま、このまま、次の季節へバトンタッチ…か?
焦る……。
ああ、だったら、もうこうなったら…
そっちがこっちに来ないのなら、こっちがそっちへ近づくしかない!
と言うわけで……
先日、向かってしまいました、東北方面へ!
◇◇◇◇◇
≪1日目≫
6時起床、いつもの朝食:グレープフルーツ・ジュース+ヨーグルト+フルーツ(本日は林檎)+紅茶+クッキー。
ダウンコート&マフラー&冬靴。北国態勢万全。リュックサック背負い、7時半、自宅を出発。
常磐道に入り、9時半、まずは茨城でトイレ休憩。
売店で、おにぎりセット、緑茶、コアラのマーチ、おっとっと、カフェラテを購入。
さぁ、いざ出陣!
茨城⇒栃木
でも…いまのところ…
ぽかぽか日和。雪、欠片すら…なし。
焦る…。
そんなこころを落ち着かせる為、まずは—
12時、袋田の滝に到着。
土産屋連なる道&長いトンネルくぐり抜けると、水の音が微かにしてきたと思い、見上げると、すぐ目の前に、あっ、滝だっ!
でも、うーん、ごく普通。きれいではあるけれど、でも、どうも印象薄。
もっと“季節感”ある時の方が、美しい御姿、拝めるのか?
いやいや。コンクリートで固められたトンネル、中にはクリスマス・ライト顔負けの飾り電球きらきら。それでもう、嫌になってしまう。
やはり大地を踏みしめ、自然の中を歩き、そうした先に……滝……と言う展開でないと、興醒めです。
10分ほど眺めた後、“もういいや”…と、いま来た道を戻ります。
すると、鮎の串焼きを前に、腹がグググゥ〜〜ッ。
腹には逆らえぬ。
で、しばし腰を下ろし、間食なり。
むふふふふっ! 美味です〜〜(^_^)v(^_^)v
さて、いよいよ……
東北道⇒山形道。西蔵王高原ライン。
本日の目的地、蔵王山を目指します。
4時半、蔵王山麓駅。
ダウンコートのファスナー上げ、マフラー締め直し、ホカロン貼っつけ、冬山支度完了。
ロープウェイに乗り、15分ほどで樹氷高原駅へ。
そこを颯爽と降りてくる、スキー&スノーボードの人達。冷たい風を切り、何とも気持ち良さそう。見ていたら、ウズウズしてきました。次回は、あの中に入ろうかな。
さてと、ロープウェイ乗り換え。
しばらくすると、眼下に……
お〜〜〜〜〜〜!!!!
見えて参りました、スノー・モンスターたち〜〜(^O^)/
約15分後、地蔵山頂駅到着。
マイナス5℃前後。
人を寄せつけない、立ち入ってはならない、厳しい自然界、純白の冬山。
其処に在るのは、無限に広がる、静寂なる世界。
数歩、ゆっくり踏み出すと……
わわっ。
夜の帳の中、柔らかな明かりに照らされる樹氷、
自然の織り成す彫刻、
スノー・モンスターたちが、
目の前、手の届く処に!
顔が割れそう&鼻がモゲそうな寒さ。
でもそれも徐々に感じなくなり、やがては快感となるほどに…。
其処に在る自然美と一体化し、その場に立ち尽くし、時の経つのも忘れ、うっとり眺め続けてしまう。
さてさて、今宵の宿泊先へ。
向かう途中、曇り空の為、大好きなBLUE MOMENTもMAGIC HOURも拝むことはできず。残念。
7時半、蔵王からほど近い地に在る、かみのやま温泉へ到着。
墨絵の中、ぽつり建つ老舗旅館。
夕食は、豚しゃぶ&芋煮など、山形郷土料理づくし。
しばしの団欒、腹を落ち着かせた後、林檎浮かぶ露天風呂へ。それはそれは、心身にとても優しく。
——天国!
◇◇◇◇◇
≪≪2日目≫≫
朝6時起床、宿でバイキング朝食をとった後、一眼レフ片手に、近くの上山城までふらり。
其処に居るのは、自分ひとり。雪を踏む音も、気になるほど。
雪は、音も色も、すべてのものを優しく包み込み、この地上をより美しく魅せる。そんなところが、また、雪が無性に好きなワケ。
其処に映る木々の影が、とてもアーティスティックで美しいこと!
8時半、宿を出発。
本日のメイン・テーマは、最上川雪見舟下り。←ベタな観光客(^_^;)
約1時間後、出発地点の古口に到着。
こたつ舟に乗り、先頭の話+舟唄を聴きながらの1時間。
御国言葉が、とても魅力的。
残念ながら、周囲の冬山は、真っ白というほどではなく、木々の枝が見え隠れ。船頭によると、今年最盛期の頃の1/3の積雪なのだとか。来るのが、少しばかり遅かったか…。
約1時間の舟くだりの後、リバーポート(もっと情緒ある名前にすればいいのに!)に到着。
そうして昼食。本日は麺類の気分。で、迷わず山菜そば。味はまあまあ。
完食後、散策。
辺りを覆う空気感が、幼年期を過ごした彼の地に、とても似ていて、それを身体いっぱい感じ、ゆっくり吸い込むたび、なんとも言えない気持ちになります。
その後、下の売店でスナック類を購入:チョコチップ・クッキー、パイの実、オレンジジュース、カフェラテ。旅先ではどうしてこうも、絶えず口の中にモノを突っ込みたくなるのでしょう。普段は間食など、まずしないのに。不思議。
さぁ…
東北中央道⇒山形道⇒東北道
帰路に就きます。
途中途中、雪山の谷にひっそり点在する、村々が目に入ります。其処で人々は、どのような暮らしを、送っているのでしょう…。
あれこれ、思い巡らせます。
山形を後にし、宮城に入ると、雪は一気になくなり、空気も円やかに。
関東平野が近いのを実
。
旅の終わりは、満たされた想いと同じくらい、せつなさで心がいっぱいになります。
此の国は、美しい季節と風景の倉庫です。
さぁ次回はいつ頃、何処を目指そう……。