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得意分野は何ですか?

とと

通訳・翻訳者リレーブログ

翻訳者がエージェントに登録したり、仕事を受注する際、実務経験や語学のバックグランドが問われるのはもちろんですが、それより重要なのは「得意分野が何か」ということではないでしょうか。実務経験のある分野が必ずしも得意分野であるとは限りませんし、海外生活の経験がまったくなくても和訳よりも外国語訳の方が得意という人がいるかも知れません。でも、得意分野をうまくアピールすることで、仕事を獲得するチャンスを増やしたり、自分に合った仕事を見つけることができるはずです。とはいえ、これが意外に難しい・・・

私の場合、医学とマーケティングが得意分野ということになっていますが、10年以上この仕事に携わっていながら、今ひとつ確信が持てません。ひとくちに医学といっても、外科や内科、精神科などの領域から、癌やリウマチ、心臓病などの疾患、学術論文や治験資料、学会資料などの用途に至るまで、その種類を数えたらきりがありません。数と量をこなせば、ある程度、専門用語を使いこなせるようになりますが、いつも専門家と同じレベルで内容を理解できているわけではありません。その意味では、仕事を頂きながら、毎回、勉強させてもらっているといえます。

実務翻訳の中には、特許や契約書など、独特な表現形式を勉強しなければならないものあります。私も特許は一度挑戦してみたことがあるのですが、最初は「これ間違ってるんじゃないの」と思うようなクセのある構文にびっくり。結局、特許はそのときに勉強したきりになってしまいました。もっと専門分野を極めたいという気持ちもありますが、本音を言えば、いろんなタイプの仕事を頂ける現在の「よろず屋」の状態も気に入っています。

フリーランス翻訳者として最初に受注した仕事は、漢方薬の小冊子を英訳するというものでした。いきなり難題です。中国語の名詞が多くて難しかったのですが、独立したばかりですごく張り切っていたのを憶えています。無事に納品を終えたときの達成感は今でも忘れられません。その後も、大規模な商業施設のプロジェクトに企画の段階から参加させて頂いたり、数人の翻訳者とチームを組んで公開前のハリウッド映画の脚本を徹夜で日本語に直したり、雑誌の記事に翻訳者の署名を入れてもらったり、自分でも本当に仕事に恵まれていると思います。

仕事部屋にある書棚の一部。辞書はCD-ROMが多いです。

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とと

大学卒業後、数年のサラリーマン生活を経て、フリーランス翻訳者に。技術系から出版物と、幅広い分野で高い評価を得ている。趣味は音楽。ただいま子育て奮闘中。

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