編集者・根本昌夫さん講演会に出席してきました
日曜日、町田市民文学館(ことばらんど)で開催された講演会「編集長の眼-八木義德という人」に出席してきました。
このイベントは、現在、同館で開催されている芥川賞作家・八木義德展(「最後の文士」とも呼ばれたひとらしい)にあわせて開催されたもの。普段から、なるべく言葉や出版に関するイベントには参加するようにしているので、おじゃましてみました(ちなみに展覧会も無料です♡)。
根本昌夫さんは「海燕(かいえん)」の元編集者で、若手時代の吉本ばななさんや島田雅彦さんも担当されたそう。そのうえ昨年は教え子が芥川賞をダブル受賞したという、すごいかたのようです。
お話のなかで印象的だった言葉を思いつくままに並べてみると……「編集者の仕事で一番大事なのは、作家をリスペクトすること」「小説は書き出しが大事」「生きた文章とは、下手とか上手いとかではない」(根本さんは『小説教室』という本も書かれているので、ご興味あるかたはぜひ)。
ご本人の存在感もよかった。「こういう人に原稿を読んでアドバイスしてもらえたら、うれしいし心強いかもな~」と思うような、福々しさと鋭さが同居した感じ。今度、やっぱり何でも「生(ライブ)」はいいな、と改めて思った1日でした。
今回、個人的に一番心に残ったのは、講演資料として配布された八木さんのエッセイのなかにあった作家・阿部昭さんの言葉。
「文章をつづることが生業(なりわい)となって行くにつれ、言葉はいつかただの文字となり、言葉ならざるただの文字をせっせと並べているにすぎない、ということも起こりがちである」
「言葉がないということ、言葉に生命を吹き込むことが出来ないということは、もとより恐ろしいことであるが、もっと恐ろしいのは、言葉がないにもかかわらず、手だけは相変わらずちゃんちゃんと動いて、文字を並べつづけることであろう」
うーん。寒さで猫背ぎみになっていた背筋が思わずのびたような。さあ今日も、お仕事がんばろっと。ではまた!
◎町田市民文学館 ことばらんど https://www.city.machida.tokyo.jp/bunka/bunka_geijutsu/cul/cul08Literature/
<おまけ>先日、「顔真卿」展に行ったさい、トーハクの東洋館で見かけた清の文人画家・金農の梅。学芸員さん、センスいい!