現実なのか、幻なのか
8月下旬に日本から送った段ボール箱いっぱいの本が10日程前に到着。どれも読みたい本ばかりだけど、なかなか読めずにいます。
悲しいかな、この春から本を読むときには老眼鏡のお世話になっております。昔、年上の山仲間が地図を読むときに、やたら地図を遠くに離して見る姿がおかしくて笑ってしまい、「あなたも今にこうなるのよ」と言われたものだけれど、その通りになってしまいました。聞けば、同年代の友人も、妹も、みんな小さい字を読むのに苦労しているとのこと。翻訳の仕事をしていても、字の小さい原稿や資料が出てくると、結構つらいです(泣)
届いた本のうち、一番さくさく読めそうだった伊坂幸太郎の「グラスホッパー」を読みました。伊坂幸太郎、好きなんです。
一番好きなのは、「陽気なギャングが地球を回す」とその続編、かな。こんな奴らがいるわけがないというキャラクター設定、こんな銀行強盗がいるわけがないという設定なのに、登場人物に圧倒的な存在感があって、どこかに本当にいるような気がする、いや、ぜひ会ってみたい!と思ってしまうんですよね。
「グラスホッパー」は伊坂作品の中では好きな方ではなかったけれど、登場人物が幻覚を見ているうちに、どこまでが幻覚で、どこまでが現実か、わからなくなっていくのを読んでいて、ふと我が身を思い、寒くなりました。
もちろん幻覚を見るわけではありませんが、私の今の生活にはどこかリアルさが欠けているような気がします。在宅翻訳で、ずっと家にこもって仕事をしていると、現実との接点は希薄になります。ロシアで暮らしているのにロシア語が話せない、街では英語が通じない、会話できる相手がものすごく少ない状態です。一日中PCに向かい、仕事もインターネットで受注・納品し、日本の友人との連絡も、日本のニュースをチェックするのもみんなインターネット。なんだか自分がバーチャルな世界の住人になったような気がしてきて、こわい。う〜む、生活を見直して、何か考えないとまずいかもしれません・・・。