ガラリョードの朝
年末から連日マイナス10度以下の寒さだったのですが、昨日今日は零度前後の暖かさ。寒さがゆるんで、うれしいかって? 全然うれしくありません。
今朝、娘を学校に送っていくためにアパートの玄関を開けたら、一面のガラリョード(гололёд)。文字どおり英語にすれば、Naked Ice。 道がスケートリンクと化していたのです。凍結して黒光りするアスファルトの道を目にしたときの絶望感と言ったら・・・。
こちらでは雪が降ると、すかさずアスファルトが見えるまで除雪します。 モスクワの場合、アパート周りは各棟の管理員が、広い道は除雪車とどこぞから派遣されてきた作業員たちが、雪かきをします。こっちの人が雪かきにかける執念はすごい。アスファルトが見えるまで除雪するから、雪を踏みしめて歩く機会は意外と少ないのです。そりも、歩道では雪がないので使えません。(それでも、アスファルトの上をすごい音たてて、子どもを乗せたそりをひく人はいます)
気温が零度を前後すると、日中アスファルトにちょっとだけ残った雪が暖かさで融けて、夜に道路一面が凍るのでキョーフです。こういうときには滑り止めの砂利が道にまかれるのですが、子どもの登校時間にはまだまかれていないところが多いのです。
学校まで無雪期ならば徒歩10分強の道のりも、ガラリョードだと時間はかかるし、緊張状態が続くのでひと苦労です。気をつけていても、毎冬、何度かころびます。尾てい骨を打って、しばらく痛みと付き合う羽目にもなります。翻訳の仕事をしている身としては、腕の骨折だけは避けたいです、切実に!
初めてガラリョードという言葉を知ったとき、路面凍結を一語で詩的に?表現する言葉があるのがおもしろいと思いました。天気予報でも「ナダローガ・ガラレーディッツア」(道がガラリョードになるでしょう)という表現がある一般的な言葉です。ちなみに、ロシアの国民的シンガーソングライター&詩人&俳優だったヴィソツキーの歌にも「ガラリョード」というのがあり、「薄氷の上では、すぐに足をとられて転んでしまう。転んだ人間の上を、他の人間が踏みつけていく。」というような内容で、ソ連時代の人々が困難な状況で助け合いもせず、他人の不幸を喜ぶような残酷さを歌っていたようです。
ともあれ、冬はヘタに気温が上がらない方が暮らしやすいです。マイナス10度を下まわると外に出るのが億劫になるので、願わくはマイナス5度〜10度くらいで!
下の写真は気温マイナス15度の日のキオスク(手前の赤いのはアイスクリーム屋さん、中央の白いのはパン屋さん、その奥は八百屋さん)。キオスクは簡単に移動できる作りなので、暖房もしっかりしたものではないはず。この寒さの中、さぞや大変だろうといつも思います。