修行が必要です
今朝のモスクワは零下20度を下まわり(うちの外気温計を見たら零下23度)、本当に寒い! 子どもを学校まで送って行くのに、ジーンズで出かけたら、ひざ下まである分厚いロングコートを着ていたにもかかわらず、冷気が太ももを刺し、痛かったです。ジーンズの下に冬山用タイツをはかなくちゃ。いや、もうジーンズをはいている場合じゃなくて、厚手ウールのパンツを買うべきか?
昨日の朝は零下10度位だったのですが、午後外に出てすぐに「零下15度を下まわったな」とわかりました。ヘンな話ですが、零下15度以下になると、鼻毛が凍り始めて、つっぱるような違和感が出るのです。うちの子にはそんなことは起きないらしいので、個人差があるのでしょうけれど。
北緯69度の街で生まれ育ったダンナは、「ついに本当の冬が来た!」と大喜びで、バス停でわざわざバスを一台見送って、凍えるような寒さを満喫しているようですが・・・。
それはさておき、最近、広告やマーケティング関連の翻訳案件の割合が増えてきたのですが、自分の知識が断片的で不十分だとひしひし感じるため、その分野の和書・洋書を何冊か取り寄せました。じっくり読むのは年末年始になると思いますが、ちょっとだけ読み始めた佐藤尚之著の「明日の広告—変化した消費者とコミュニケーションする方法」(アスキー新書)がおもしろそうな予感。何より、文章(文体)がうまいなと思います。と言うか、好みです。
好きな作家はたくさんいますが、その人の文章そのものが好きか、うまいと思うかというと話は別です。この人のような文章が書きたいと思う作家を挙げよと言われて思い浮かぶのは、丸谷才一かな。その丸谷才一が「思考のレッスン」(文春文庫)で、文章心得の基本として次のように書いています。
「ものを書くときには、頭の中でセンテンスの最初から最後のマルのところまでつくれ。つくり終わってから、それを一気に書け。それから次のセンテンスにかかれ。それを続けて行け。そうすれば早いし、いい文章ができる。」
センテンスの途中で休んで、「え〜と」と悩むのは時間の浪費で、とにかく書き上げてから推敲すべきだというのです。翻訳作業をする上でもこれが実行できるようになれば、どんなにいいだろうと思いつつ、翻訳文どころか、このブログの文章でさえも、センテンスの途中で「え〜と」と悩んでしまう私です。まだまだ修行が必要です。
このところ、日英翻訳と英日翻訳の比率は半々くらいになってきましたが、実は英日翻訳の方が文章を書くときに悩んでしまいます。私は英語のネイティブスピーカーではないので、当然、日本語の文章力の方が上です。おそらく、自分が設定しているハードルの高さの違いだろうと思います。私が担当することの多い会議用資料、クライアントへのプレゼン資料等の日英翻訳の場合、ゴールは原文の内容・事実関係を正確に伝え、読み手が必要な判断を下し、ビジネスを前に進めていけるような精度の翻訳を行うことです。ところが、英日翻訳となると、それに加えて、やはり翻訳文の完成度というか、文章の巧拙が気になり、ああでもない、こうでもないと泥沼にはまりがちなのです。
年末年始には丸谷才一の文章心得にしたがって文章を書く練習もしたいものです。