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MUSTだと、ちとつらいけど

さるるん@ロシア

通訳・翻訳者リレーブログ

先週の木曜日に翻訳案件を納品し、その後、丸2日間休養。このところ、仕事が重なっていたので、数週間ぶりの休みでした。録画してあった日本のドラマをまとめて見ました。(今シーズン一番のお気に入りの「ブラッディマンデイ2」、嵐の櫻井翔くん主演の「特上カバチ」はどんなに忙しくても毎週見ているので、それ以外のものを)

テンナインの某コーディネーターさんご推奨の「コードブルー2」を数回分鑑賞。何度も泣かされたものの、ちと気になることが・・・。主演の山Pのセリフが聞き取りにくい。低音の声で、役柄に合わせて(?)ボソボソ話すせいで聞きにくいのだと思うけれど、私の聴力が年齢的な問題で衰えてきたのかも、と不安にかられてしまう・・・。

それから、我が子のように思い応援しているウエンツくんが出演している「エンゼルバンク」。転職エージェントの話。見ていて少々つらい気持ちになるので、やめようかと思いつつも見続けてしまった。特に、中高年の転職に関わるエピソードは、せつなかった。自分はずっと翻訳者として食べていけるのだろうかという思いはつねに心の中にあるし、フリーランスの不安定さを考えると、給与生活者に戻った方が安心だと思うこともあるけれど、簡単に再就職できる年齢じゃないし、就職しても10年か15年で定年になってしまうだろうし—そんな思いが胸のどこかにあるから。

学生時代に、男性と対等に仕事したい、一生仕事を続けたい、と思っていたけれど、年齢を重ねて気づいたことがあります。「一生仕事を続けたい」と思っていた自分の中に、前提として、女性は必ずしも一生フルタイムで働く必要はない(結婚したら家庭に入る、パートで働くという選択肢もある)という日本的な考えが実はあったということ。一生仕事を続けることは、自分の意思で選べる選択肢のひとつとして存在すると思っていたわけです。でも、ほとんどの男性がそうであるように、自分自身が、仕事を続けることは生活の糧を得るためにMUSTであって、他の選択肢がないという状況になってみると、学生時代の自分の考えの根底にあった甘えや青さに苦笑してしまいます(時代の違いもあるのだけれど)。

ダンナがロシア人の場合。女性が結婚後も働くことに理解があって良いと思っていたのですが、これまた大きな勘違いだったみたい。旧ソ連では、女性も働くことはMUSTで、特別な理由(健康上の問題等)もなく働かなければ罰せられるという世界だったから、働くことは至極当然だったみたい。モスクワに引越してきた当初は、有閑マダム生活をエンジョイしようと目論んでいたのですが、モスクワは物価が高くてダンナのお給料だけでは生活が苦しく、義母とダンナが「さるるんは仕事を見つけようとしない。困ったものだ。」と話しているのを知り、ようやく、ロシアでは既婚女性も働くのが当然とされていることに気づいたのでした。

そんなこんなで、私の場合、経済的に切羽詰まった事情から仕事をしているという側面もあるのですが、やはり誰かの役に立ちたい、世のため人のために役に立ちたい、社会とつながっていたいという根源的な欲求も仕事をする大きな動機であり、ビジネス翻訳という仕事がその欲求をかなり満たしてくれることは確か。だからこそ、ヘロヘロになっても、がんばれるのだと思います。

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記事を書いた人

さるるん@ロシア

米系銀行勤務後、米国留学中にロシア人の夫と結婚。一児の母。我が子には日露バイリンガルになってほしいというのが夫婦の願い。そのために日本とロシアを数年おきに行き来することに。現在、ロシア在住、金融・ビジネス分野を中心としたフリーランス翻訳者(英語)。

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