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勝利の日に

さるるん@ロシア

通訳・翻訳者リレーブログ

今日は、ロシア人にとって最も大切な祝日、対独戦勝記念日です。赤の広場ではパレードが行われ、夜までコンサートやら花火やらで、にぎやかな一日になります。

今日は天気も良く、モスクワは新緑がきれいです。私は、この時期のモスクワが一番好きです。でも、毎年思うけれど、新緑の季節は本当に短い!ちょっと前まで丸裸だった木々がすごい勢いで葉を繁らせていくので、この時期は、毎朝起きると外の風景が変わっていて驚いてしまいます。背の高い木ばかりで、8階建てのアパートよりも高い木もたくさんあるので、余計にインパクトが強いのです。あと数日で、新緑の風景は、うっそうとした森のような風景にかわります。

今日は、赤の広場に限らず、市内のあちこちで戦勝記念イベントが進行中。
私も、先程、近所の公園をのぞいてきました。ステージでは、歌や楽器の演奏、民族舞踊、アクロバット、詩の朗読などが次々と披露されます。軍の行進もありました。

 

 

子どもを対象としたスポーツクラブやカルチャーセンターの宣伝活動も行われています。下の写真は、青空絵画教室—というか、キャンバスを用意されていて、子どもたちが勝手に絵を描いている様子です。

下の写真は、昔の兵士のコスチュームを着て、戦いの様子を再現しているところ。この金属製メッシュの鎧(?)、以前、イズマイロフの童話博物館で手にしたことがあるけれど、結構重いはず。

ボクシングやサンボ(柔道とレスリングをミックスしたような武術)のデモンストレーションもやっていました。出店もあったけれど、めぼしいものはなく、こういうときは、日本の焼きそば、焼き鳥、たこやき、おでん、チョコバナナ(見かけると買わずにはいられない)等々の屋台が恋しくなります。今夜は遅くまで、街のあちこちで花火が上がり続けるでしょう。

日本人の私としては、複雑な思いのある祝日です。勝者と敗者。どちらの無名戦士も、国を守るため、家族を守るために戦ったことに変わりはないはずなのに。無名戦士の墓に花を捧げ、退役軍人に感謝を表わすロシア人を見ていると、日本のいびつさを思わずにはいられません。

同時に、「勝てば官軍」という言葉も、頭をよぎります。このところビンラディン殺害に関連する米国の発言の数々に少なからずショックを受けているせいもあり、勝者の正義というものに、ため息が出ます。たとえば、パキスタン政府に事前通告をしなかったことに関して問われたカーニー大統領報道官が、「He was enemy number one for this country and killed many many innocent civilians.」だから謝罪しないと答えるのを聞いて、思わず「9.11の後、米国はアフガニスタンとイラクでinnocent civiliansに何をしたの?」とつっこみたくなりました。大戦の勝者となったことで、広島・長崎への原爆投下、東京大空襲、あるいは、ドレスデン爆撃で一般市民を攻撃したことに対して責任を問われず、反省もしなかったことが、こういう無神経さにつながっているのではないかと思います。好きな国の嫌な部分です。

ちなみに、今日は大勢のロシア人が飲んだくれていると思われ、我が家のロシア人も例外ではなく、やたらハイテンションでうるさいです・・・。

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記事を書いた人

さるるん@ロシア

米系銀行勤務後、米国留学中にロシア人の夫と結婚。一児の母。我が子には日露バイリンガルになってほしいというのが夫婦の願い。そのために日本とロシアを数年おきに行き来することに。現在、ロシア在住、金融・ビジネス分野を中心としたフリーランス翻訳者(英語)。

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