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あいさつ通り

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 我が家の近くに「あいさつ通り」という道があります。
 その道路周辺は幼稚園や小学校がある文教地域。きちんとあいさつできるようにという教育的な観点からあいさつ通りに指定されたようです。ちなみに日本の教育ではあいさつが非常に重視されていて、教育方針に「あいさつのできる子」を掲げる学校がたくさんあります。一方、欧米の学校が重視するのは自主性や個性。目標として ‘gain confidence and leadership’または ‘to move forward in the 21st century as an intellectually fulfilled individual’など、生徒一人一人を伸ばすことを重視しています。こうしてみると、やはり日本では「あいさつ」が生活していく上で、また、人間関係を築く上で基本中の基本とみなされているのがわかります。
 
 本サイト・工藤社長のコラム(「工藤浩美のビシっと愛のムチ」http://www.ten-nine.co.jp/hc/kudo/)でもあいさつのことが取り上げられており、とても興味深く読みました。11月22日(木)の記事ですが、マナー5ヶ条の一つとして、「あかるく いつでも さきに つづけておじぎ」と、あいさつの頭文字をとった心構えが出ていました。通訳の現場でもこれはとても大事ですよね。

 ところが意外なことに大人でもきちんとあいさつできない人が最近増えているように思います。たとえば病院の待合室で自分の名前を呼ばれても返事をせず、そのまま診察室へ向かう人。医療事故を防ぐためにもきちんと返事をした方が良いと個人的には思うのですが、「ハイ」と答えている人はあまりいません。あるいはお店の人とフルセンテンスで話さない人もいます。たとえば駅の売店で「日経」とひと言だけ言ってお金を払う人。毎朝この光景を見るたびに、私は絵本「はじめてのおつかい」に出てくるサングラスのおじさんを思い出してしまいます。おじさんは「タバコ」とぶっきらぼうに言うのですが、お店のおばさんはにこやかに接客しているというワンシーンです。

 「あいさつ」に話を戻しましょう。放送通訳のニュース番組では、専門家やゲストが頻繁に登場します。ニュースキャスターはインタビューの冒頭で‘Mr. XX, welcome to the program.’とたいてい言うのですが、私はつい「XXさん、番組へようこそ」と直訳してしまいます。間違いではないものの、もっと自然な日本語にするならやはり「XXさん、よろしくお願いします」の方が聞きやすいですよね。そしてインタビュー終了後は必ず日本語訳でも「ありがとうございました」と付け加えるようにしています。多少次のニュースにずれ込んでいても、やはりゲストにはきちんとお礼を言うのが良いと思っているからです。私なりの小さなこだわりではあるのですが・・・。

 あいさつやお礼。簡単なようで難しいですが、スポーツクラブのスタッフのように私も元気よくあいさつをしていきたいと思っています。

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記事を書いた人

かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

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