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英語学習とダイエット

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 先日、地元の高校に招かれて夫婦で講演してきた。夫も同業者なので、通訳の話やトレーニング法などを生徒たちに披露。担任の先生から「今年の生徒はなかなか大きい声を出さないんですよ」と事前に言われていたのだが、生徒たちはトレーニングにもよくついてきて、声も出していた。
 講演に先立ち、テンナインのサイトをはじめ、本や雑誌などで通訳業について生徒たちが事前に調べておくよう、お願いしておいた。そして私たちからどのような話を聞きたいか、あらかじめアンケートを提出してもらい、講演当日に答えるという形式をとったのである。 
 このアンケートの中で一番多かったのが英語学習に関するものだった。「試験の点数を上げるにはどうすべきか?」「英字新聞を毎日読んだほうが良いか?」「暗記法で最も効果的な方法は?」などなど。いずれも「英語を勉強しなければいけないのはわかっているが、どうしたらよいかわからない」というのが高校生の本音のようであった。
 こうした質問を見て、ふとダイエットのことを考えてしまった。ちまたにはダイエットのハウツー本がごまんとあり、これまでも寒天、豆乳、にがりからピラティス、デトックスに至るまで、めまぐるしく流行は変わっていった。英語学習しかり。ビデオ学習、多読、文法重視、辞書なしでペーパーバック、シャドウィングなど様々な学習法があり、検索エンジンで「英語学習」と入力すれば5千万件以上もヒットする。
 結局ダイエットも英語学習も、「苦労せずに効果的な方法があるに違いない」と心のどこかで思っているのではないだろうか。「どうやったら大リーグの選手になれますか?」と聞かれれば、「練習あるのみ」と誰もが答えるのに、なぜか英語学習やダイエットだけは「手っ取り早く、少ない労力で成果を出せるワザがあるはず」と思ってしまうのだ。
 イチロー選手は小学校6年の時点で「夢はプロ野球選手になること」と作文に書き、それを実現するには自分がいつ、何をすべきか逆算して地道に練習を積み重ねていった。アルピニスト・野口健も「冒険は資金集めから」と自覚するや、まずはスポンサー探しをしてまわった。つまり目標を定めたら自分のアタマで計画を立て、自分で動かなければいけないのだ。
 どの通訳者も試行錯誤の学習法を経てプロデビューしており、今もたゆみない努力を続けている。ダイエットがバランスのとれた食事と適度な運動を必要とするのと同様、通訳者も地道な努力を日々続けているのである。

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記事を書いた人

かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

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