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春は別れと出会いの季節

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 海外での仕事に終止符を打って帰国して早3年。今住んでいる街は都心から電車で40分ぐらいのところにある。独身時代、この街に対する印象は漠然としていた。しかし住めば住むほど、自分の暮らす街が気に入り、今では夫よりもドップリ浸っているほどだ。抜け道や近郊の名所旧跡はもちろん、市役所での手続き方法や図書館の使い方など、随分詳しくなった。
 そして過去3年間、この街で沢山の出会いがあった。夫の行きつけの理髪店店主、宅配便ドライバー、自治会幹部、スポーツクラブのインストラクターや美容師さん、近所の住民などなど。我が家には子供が2人いるので、子供を通じて会話が進み、打ち解けるのも早かったように思う。道で近所の人に会えば挨拶し、スポーツクラブに行けばスタッフとおしゃべりが出来るまでになった。独身時代、実家に暮らしていたころは会社と家の往復だったので、地元における自分の存在感はゼロだった。それと比べると、今は20代前半からご高齢の方まで幅広くお付き合いできるので、私自身、大いに学ぶことがある。
 しかし出会いもあれば別れもあった。昨年夏、信頼していたスポーツクラブのインストラクターが異動で転勤。私は長いこと運動をサボっており、ずっと幽霊会員だったのだが、このままではいけないと意を決して久々に通い始めた。このインストラクターはそのときたまたま私が参加した格闘技系プログラムを担当していたのだが、レッスンがとても面白くてその後定期的に通うきっかけとなった。それだけに異動は残念だった。
 そして秋。同じマンションのママ友達一家が引っ越していった。自治会の清掃日を機に家族ぐるみで仲良くなった一家。息子より1歳年下の女の子がいて、どうやら息子と相思相愛(?)だったので、引越しは寂しかった。オシャレで明るい3人家族で、一緒にいるだけでこちらも華やいだ気持ちになれたのである。その後、我がマンションでは転居が相次ぎ、数ヶ月で5世帯がここを後にした。今、外から見ると建物全体がガランとしている。
 年が明けると、今度は行きつけの美容師さんが結婚退職する旨を知らされる。2年間、月1度のペースでお世話になった方だ。美容院に通った日数を合計しても正味一ヶ月ほどの接点に過ぎないのだが、沢山のことを話してきたので、随分お互いを知っているようにも思える。
 そして3月末。またもやスポーツクラブでお世話になった別のインストラクターが異動していった。毎回バイタリティーあふれるスタジオレッスンで、きつい箇所になると励みになる言葉を皆にかけてくれていた。選曲も良くて、このレッスンに出るたびに「また頑張ろう!」と思えた。幸いこのイントラさんは近所の別店舗に異動になったので、またチャンスがあればレッスンを受けに行こうと考えている。
 春は別れあり、出会いありの季節。これから新たにどんな出会いがあるのだろう。そう思うとワクワク楽しみだ。去年は本当に多くの人にお世話になった。いずれも私に沢山の元気をくれた方々ばかり。私もこれからは誰かに元気を与えられる存在でありたいと思う。

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記事を書いた人

かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

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