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どうする?予習

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 子育てと仕事の両立はどこの共働き家庭においても課題だ。我が家もしかり。完璧な両立などありえないし、常に誰かにサポートを頼んだり、できないことには目をつむったりという状況だ。
 そんな中、私が一番悩むのが「仕事の予習時間をいつ確保するか」という問題。以前、こういうことがあった。
 依頼されたのは某企業の契約会議。逐次通訳で半日、一名体制。資料を入手できたのは前日。たまたま前日、都内で仕事をしていたのでエージェントまで資料一式を取りに行く。ただし取り扱い要注意なのでむやみに車内で広げるのははばかられる。そうなると自宅で予習するしかない。しかし今から家に帰れば夕方5時。大急ぎで夕食の支度をして6時に保育園へダッシュでお迎えに行かないと間に合わない。車内は空いているのに資料はカバンの中。「せっかく40分近くも乗っているのに予習できないなんて・・・」と思いつつも潔くあきらめることにする。
 子どもたちをお迎え後は入浴。まだ自分で上手に洗えないので私は入浴のお手伝い。「おかーさーん、おなか空いた〜!早く上がろうよー」コールを聞きながらあたふたと仕上げる。当然、自分の体すら満足に洗えないが、もうそれにも慣れてしまった。雑誌によく出てくる「アロマキャンドルをバスルームに灯してリラックス」などは遠い世界のことだ。
 夕食を食べさせ、絵本を読んで寝かしつけ。ここで私は究極の選択を迫られることになる。件の資料をどうするかだ。会議は明日の午前中。となると選択肢は(1)子どもたちを寝かしつけて布団から起き出して予習するか、(2)思い切って子どもたちと一緒に寝て明朝3時に起きるか、の二つしかない。しかもどちらも長所短所がある。(1)の場合、子どもたちの眠りは深いのでじっくり勉強できるが、すでに仕事と抱っこ三昧(娘3歳=15キロ。バーベル並)で私はクタクタ。眠気と疲労で資料を集中して読むのは難しい。一方(2)の場合、睡眠をとった後なので頭には入るが、資料の難易度によっては早朝の数時間で読みきれるかどうかわからない。しかも早朝は子どもたちの眠りが浅く、布団に母親がいないと不安になって起き出してしまう。さあどうする?
 この日私は(2)を選んだ。十分寝たので頭はさえている。しかも最近は日の出も早いので気持ちいい。難しい法律用語や特許用語などの単語リスト作成もはかどる。・・・が、ここで寝室の障子の「スーッ・・・」と開く音が。娘、お目覚めナリ。しかもまだ4時!予習は1時間で中断。再びどうするか?(1)寝かしつける、(2)放っておいて予習を続ける、(3)適当に相手をしつつ読み込み継続、の三者択一。この選択肢にも一長一短があり、(1)は予習時間が確実に1時間失われるが、寝てくれれば朝食時間まで勉強可、(2)無視されたと思って娘は泣くので後が大変、(3)「アンパンマン描いて〜」などの要求に答えつつ資料を読むのは無理。ということで(1)しか選択の余地なし。予習時間3時間を見ていて1時間のロスは痛いが、それでも何とか2時間で予習完了。ふ〜、こんな日々が続いている。

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記事を書いた人

かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

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