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サプライズより大変なものは?

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 通訳の仕事をしていると、当日サプライズに事欠かない。資料を当日にどっさり渡されるのはもちろん、持参したイヤホンが使えなかったこともある。または読み原稿を渡されていたのに、いざ始まったら読み原稿とは全く違うスピーチをされたことも。こうしたことを何度も経験しているので、最近は会議直前に「これ、追加の資料なんですが・・・」とクライアントが申し訳なさそうに渡してきても「あ、わかりました〜」とお気楽に(?)答えられるようになった。今更焦っても仕方ないし、あとは限られた時間内で読み込むしかない。
 通訳業というのは往々にして経験がモノを言う。だから英検やTOEICなどの資格の有無ではなく、業務実績が重要だ。エージェントに登録する際も、取得資格よりも「通訳翻訳実績表」を重視されることが多い。資格自体は勉強のペースメーカーとしてぜひ挑戦したほうが良いと個人的には思っているが、それ以上にどれだけ積極的にワンランク上の仕事を請け、それを実績として積み重ねていくかの方が大事だと思う。
 仕事上の突発的事件には経験から対処できるようになってくる。一方、そうしたサプライズ以上に怖いのが私の場合は子育て関連のこと。我が家の子どもたちも4歳、3歳となり、今は下の娘が反抗期真っ最中。それで上の息子とよく衝突している。母親としては仲良くにこやかに、そして穏やかに日々過ごせればと思うのだが、なかなかそうはいかない。さっきまで仲良く過ごしていたかと思うとワーワーギャーギャーとケンカになることはしょっちゅうだ。母親歴4年とは言え、子どもたちも成長しているので、今までの経験やノウハウが子ども相手だと全く通じないのである。これまでは気をそらせたり、私がおどけてみたり、あるいは諭してみたりといった手段で丸く収まっていたのに、子どもの成長と共にそれが通用しなくなってくる。
 娘に限らず、言葉の通じる息子も例外ではない。先週の月曜日も、家を出発するまではゴキゲンだったのに、園に着くやフガフガ・グズグズ。特に大きな理由でぐずっているわけでもないのだが、忙しい朝、不機嫌な態度を示されるとついこちらもイライラしてしまう。あ〜あ、こういうときこそ菩薩様のような慈悲の心で子どもを導けたらと後になって反省。でもそんな気持ちでモヤモヤ過ごして夕方迎えに行ってみると、「今日楽しかったよ〜!!」と大興奮で駆け寄ってくることもあるのだ。フキゲンもゴキゲンもサプライズの子育てだ。

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記事を書いた人

かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

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