やらずにはいられないこと、とは?
人間誰にも「これだけはやっておきたい」というものがある。別に難しい局面でなくても、たとえば日常生活の中で。私の場合、「手紙が来たらなるべく早く返事を書く」のがそう。ずっと放っておくと、いざ書く段階で何を書くのか忘れてしまい、もらった手紙をもう一度読み直さないといけない。しかも返事が遅れてしまったお詫びから書き出さなければならないので、かえって面倒。だから「来たらすぐ!」がモットーなのである。
この「やらずにはいられないこと」、実は人によって色々ある。先日、お墓参りのため父の生まれ故郷へ出かけた。私は玄関先の靴を全部同じ方向に揃えるのも好きで、「靴がバラバラだと、つい直しちゃうのよ」と父に言った。一方、父は玄関先に置いてあった置時計を見て、「お、振り子が止まっているな。どれどれ」とやおら分解して修理し始めてしまったのである。そう、父は大のメカ好きで、電池や蛍光灯の交換も必要とあればすぐ直すタイプ。娘である私の家に来るたびに、「何か直すものはないかね?」と聞くほど修理大好き人間なのである。
一方、我が夫はと言えば、「キッチンの流し台に大物が置いてあったらすぐに洗うタイプ」。たとえばフライパン、中華なべなど、食後にいざ洗おうとなると、そのほかの食器で流しがいっぱいになってしまう。それがイヤで、食べる直前にものすごい集中力で大物洗いに励んでいる。息子(5歳)は「他人の家に行って絵本を見つけたら、座り込んで熟読するタイプ」。空腹や疲労など何のその、たとえ目の前におやつが出されていても、片っ端から絵本を読まずにはいられないのである。方や娘は、私がお化粧していると必ずすっ飛んできて「パタパタやるの〜」と要求するタイプ。乳液や化粧水をほんの少し手のひらに載せてあげると、私とそっくりの手つきで顔に延ばしている。ご丁寧に二重あご対策マッサージまでしているほどだ。まだお肌ツルツルの3歳児なのになあ。
きっとこうした「やらずにはいられないこと」というのは、好きだからこそ率先してできるのかもしれない。以前テレビで美の女王、武田久美子が「美の秘訣は?」と問われ、「趣味ですね」と答えていた。仕事にせよ、日常生活にせよ、趣味と惚れ込めるぐらい愛情を持って取り組めれば、きっと毎日楽しくなると思う。