通訳者にとって「理想の通訳条件」とは?(パート1)
読者の皆さま、明けましておめでとうございます。今年初のブログは「通訳者にとっての理想的な労働条件」について。これには通訳者の個人差もあるが、私の場合どうなのか分析してみることにする。今日はその前編。
(1)クライアントが資料や原稿を事前に提供してくれる
事前準備がどれだけできたかで通訳のアウトプットも変わってくる。しかし「事前の資料はありません」と言われることも。ところがいざ現地入りしてみると、電話帳数冊分の資料が机の上にあるではないか!ただでさえ緊張しているのに、この光景に遭遇すると、心臓発作を起こしそうになる(ホントに)。
(2)クライアントが専門用語集を作成・配布してくれる
業界特有の言い回しやその企業内部でしか通じない用語などを網羅したものがあるとありがたい。以前、「事前原稿なし、資料なし」の日英同時通訳の会議でギョーカイ用語のオンパレードに遭遇。ノンネイティブの私にとって日英自体が難しいのに、外部の人には決してわからない専門用語がいっぱい!気が遠くなりそうだった。
(3)出席者リストおよび肩書き(日英)、聴衆の数など、周辺情報の提供
「誰が出席するのか分からない」と言われていたのに、当日行ってみたら会場には取締役を始め幹部がズラリ。机に名札も置いていないとなると、誰が誰だかわからない。
(4)契約時間内に通訳業務も終了すること
この仕事、「拘束時間4時間」と言われていたのが、思ったより話し合いが進んでわずか1時間で終了することも。その一方で拘束時間が過ぎても延々と協議が続いたり、あるいはその場になって突然「通訳さん、延長いいですか?」と聞かれたり。お弁当が支給されたので同室でとっていたら「せっかくですから、食べながら続けましょう」となったこともある。
(5)適宜休憩時間をとってくれる
ビジネス通訳のとき、討議が白熱してクライアントが全体休憩を忘れてしまうことも。各参加者は適宜中座しているが、通訳者が席をはずすわけにはいかない。
(6)通訳者に配慮し、ゆっくり話す。ポーズを入れる
難しい交渉の通訳だと、スピーカーがわざと相手に分からないような話し方をすることもある。一方、意味不明瞭だったり話題がそれたり、主語がハッキリしないのも通訳し辛い。
(7)結論から先に言う
たとえば結論に至るまで延々と話し続けられることもある。それが紆余曲折を経た結果だと拍子抜けしてしまうことも。
続きはまた来週。