通訳者にとって「理想の通訳条件」とは?(パート2)
先週に引き続き、通訳する上での理想条件について。今回は後編。
(8)故事成語・業界用語を使わない
これは通訳者側の勉強不足と表裏一体なのだが、難しいことわざが出てくると一瞬詰まってしまう。また、その言語でしかウケないジョークも訳し辛い。社内の伝説的事件(?)なども!
(9)通訳業務前にブリーフィング時間を多めにとってほしい
一番大変なのが「事前資料なし、会議内容が不明、当日会場に行ってみたら大量の資料アリ、集合直後から通訳開始」というもの。いつもこういう酷な条件ではないが、たまにあったりする。
(10)通訳しやすい机とイス。水の用意
私が今までやった中で一番驚いたのはガラスの超小型サイドテーブル、後ろにひっくり返りそうなフカフカ応接イス。机が小さいと資料・辞書・メモ用紙などが広げられない。理想としては自分でイスの高さを調整できるもの。人間工学的に見て誰もが同じ高さのイスを好むわけではないからだ。飲み物はやはり水がベスト。フタつき緑茶だとフタを取る手間がかかるし、片手では飲めない。茶たくにくっついていることも。ちなみに面白いところではトマトジュースが出されたこともあった。
(11)通訳者からスクリーンが見えること
通訳者を使い慣れたクライアントは見やすいところに通訳席をセッティングしてくれるが、時々スクリーンを背にして配置されることもある。気を利かせてスピーカーの隣ということもあるが、スピーカーの真横よりも、スクリーンが見えて、なおかつスピーカーの表情が読み取れる場所だと通訳しやすい。
(12)メモ取り中に通訳者に話しかけない
逐次通訳のとき、社内のスタッフが親切心から用語を教えてくださることがある。でもこちらはメモを取りながらスピーカーの発言も聞いているので、話しかけられると思考が中断してしまう。通訳者が落としてしまった部分を横でボソボソ言われるのも冷や汗モノ。
(13)音声マイクのチェックは事前にしておいてほしい
大量の資料と当日初めて「ご対面」し、その解読に集中する中、「すいません、通訳さ〜ん、マイクチェックお願いしま〜す」と言われることがある。一方こちらは内心「じ、時間が・・・」とカウントダウン状態だ。
(14)ビジネス会議の場合、話すのはお一人ずつで
同時に複数が話し出すとすべての発言を通訳できない。周囲の咳やクシャミ、部屋の外から聞こえる音も通訳者を苦しめる要因になりうるのだ。
以上、14項目を挙げてみた。きっと「クライアントから見た理想的な通訳」というのも存在するのだろうなあ・・・。