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学ぶ意欲

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 昨年末、時間管理と片付け術に関する講演をする機会があった。主催は地元の育児サークルで参加者はおよそ30人。主婦として、母親として、どのように時間を割り振ったり物の整理をしたりしたら良いか真剣に考えている方々だった。私の本業は通訳者だが、手帳の使い方や掃除法などにずっと興味を抱いてきた。自分の経験がお役に立てればとの思いで講演をお引き受けした次第だ。
 家でひたすら子どもを育てるというのは、数ある「仕事」の中でも最もハードだ。私自身、正社員時代に息子を出産し産休を取ったが、子育てはエンドレスだし家事は山のようにたまっていく。育児休暇中に通訳力が急低下するのではといった不安もあって悶々としていた。長女はフリーランスになってから出産したが、それはそれで「いつ復帰するか?保育園はどうするか?」といった課題が山積。赤ちゃんのリクエストは24時間休みなしなので、元々片付け大好きの私にとって家の中がゴミだめのようになっていくのは、精神的に辛かった。
 夢中で赤ちゃんのお世話をしていたころ痛切に思ったのは、「とにかく外に出たい」「勉強したい」ということだった。朝から晩まで狭いマンションで子どもたちだけと向かい合っていると、ややもすると煮詰まってしまう。幸い私は近所に住む義父母に助けてもらったが、それでも気がついたらパジャマのままお昼が過ぎていたり、朝から晩までずっと洗い物をしていたりという状況はしょっちゅう。仕事においてベストを尽くすのは心がけとして素晴らしいが、子育てで頑張りすぎると消耗してしまう。それだけに安心して子ども連れで学べる場所が欲しかったのである。
 今回の講演会は託児付きで、参加者の半数以上が子ども連れ。お母さん方は2時間、子育てを忘れて講演に耳を傾けてくれた。質疑応答も活発。こんなに学ぶ意欲の高い人たちを眠らせておくのは本当にもったいない。これからの時代、通訳養成所などもぜひ託児室を設けて、勉強したいという将来の通訳者を応援してくれたらと願っている。

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かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

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