1ヶ月ぶりの街へ
春休みが明け、一ヶ月ぶりに指導先のある通訳学校の街へ出かけた。学校はわが家から約2時間。長い通勤だが、車中ではたまった新聞や本を読める。子育て中の私にとっては貴重な時間だ。特に週末などは家事や子育てであっという間に過ぎてしまう。新聞もたいてい金曜日夕刊から月曜日朝刊まで手付かずというのが恒例。よって特に月曜日の授業の日などは読むべく新聞をドッサリ抱え、帰りの車内で読む本も数冊入れる。通訳の仕事を翌日に控えているときは資料にも目を通したい。寄稿もしているので校正原稿やらネタ用ノートもついでにカバンへ放り込む。これにプラスして授業の教材も入るので、カバンは常にパンパンだ。
車窓からの景色を楽しみつつ、そうした資料の一部を読んでいると目的駅へ到着。学校近くのカフェに立ち寄るのが週一度の楽しみだ。落ち着いた店内でラテを飲みながら、授業へ向けて集中力を高める。おまじないではないけれど、こういう「自分だけの習慣」を持つ人は多いと思う。以前あるスポーツ選手が「試合前にはいつも同じ音楽を聞いてヤル気を出す」と述べていたが、それと同じなのだろう。
さて、このカフェを一ヶ月ぶりに訪れてみると、何と看板が出ていない。近づいてみると店内はもぬけの殻。移転のお知らせも張り出していないあたり、どうやらあっという間に閉店してしまったらしい。ついこの間までお客さんが沢山入って活気のあるお店だったのにと一瞬信じられなかった。
このカフェは店員さんたち誰もが親切で、世間話をしたりコーヒー豆を紹介してもらったりと、私自身随分お世話になった。春は出会いと別れの季節と確かに言うけれど、桜の花びらが散り去るかのごとく、お気に入りのカフェが消えてしまったのは何とも寂しい。閉店するとわかっていたら、最後に訪ねたときにお礼を言いたかったし、もっと沢山コーヒー豆を買っていたのになあと思う。私にとって身近な存在となっていた店員さんたちが今、どこか新しいお店で元気に活躍していることを願っている。