次へつながる迅速さ
来月で6歳になる息子は、最近新聞にこっている。
先月さいたまでJR架線切断事故があった。多数の乗客が蒸し暑い中、車内に長時間閉じ込められ、その後線路を歩いて最寄り駅へ避難するというもの。息子はその様子をテレビで見て、自分で新聞を作ろうと思ったらしい。夕刊の写真を切り抜いて紙に貼り、「あつくてたまらず」と自分で見出しを書いた。このニュースがきっかけで新聞への関心が高まっていたのである。
私の読む日経新聞ではさすがに難しいだろう。それなら小学生向けの新聞は?私は幼少期に海外で暮らしており、当時は今のようにネットなどなく、私は常に日本語に飢えていた。それでA小学生新聞をとっていたのである。そのことを思い出し、近くのA新聞専売所に電話でたずねてみた。
「あの、小学生新聞を一部希望しているんですが?」
「今日は日曜日だからねえ。必要部数しかウチには来ないんですよ。今から取り寄せても明日夕刊のお届けになりますが?」と専売所の職員。
うーん、思い立ったが吉日。できれば今日読ませたかった。他の専売所で今日買えないか聞いたが、なさそうとのこと。残念。
次に電話したのはB新聞専売所。私は幼少期にとっていたA小学生新聞に思い入れがある。B小学生新聞にはあまり気乗りしない。しかし見本誌だけでもと思い、問い合わせてみた。
「ええ、ありますよ。今からお持ちしましょうか?」との返事。それではぜひと電話を切るや、15分後にはもう玄関のインターホンが鳴っていた。
専売所の男性は「一週間無料購読できますので、今日から7日間お入れします。最終日に購読を続けるかどうかご連絡ください」とのこと。届いた小学生新聞はオールふりがな付き。息子は自分だけの新聞に大喜びだ。これで購読継続はほぼ決定となった。
今回、2社に問い合わせてみて、ビジネスチャンスのあり方を目の当たりにした。消費者側のニーズにどれだけ迅速にこたえられるかで次へつながる。幼いころ隅から隅まで読んだA紙は私にとってノスタルジアだ。しかし、丁寧かつスピーディーな対応をしたB紙こそ、わが家にとっては最適な新聞だと言える。
きっと通訳も同じなのだろう。一字一句もらさず、完璧な通訳ができればもちろんベストだけれど、それよりもクライアントのニーズにどれだけすばやく応えられるかの方が評価ポイントになるのだと思う。