BLOG&NEWS

ヤセた!

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 と言っても、たった1キロだけど。
 でも私の場合、この1キロを落とすのに、何度これまで失敗したかしれない。まあ、標準体重以内なので、ガムシャラに落とす必要はないのだが、やはり少しでもスッキリしている方が気分的にもうれしい。
 今回のきっかけは、岡田斗司夫著「いつまでもデブと思うなよ」(新潮新書、2007年)だった。岡田氏のことはまったく知らないのだが、新聞広告に出ていた写真があまりにも衝撃的だったので、目を引いたのだ。広告のコピーには「1年で50キロの減量に成功!」とある。え〜、本当?急激なダイエットなんじゃないの?と思いつつ、広告文をよく読むと、必要なのはメモ帳一冊とある。しかも、ダイエットは楽しいとまで。半信半疑で本書を入手した。
 ところが読んでみると目からウロコの連続だった。ダイエット自体はステップごとにやり方が書いてあり、詳しくは本文に譲るが、述べてあることが私自身うなずくことばかり。たとえば11ページ。
 「(ダイエットは)辛いと思うから、一日も早くダイエットを終わりたいと思って、より効果がありそうな、極端なダイエットに耐える。次々とガマンすることを増やす。あげくに辛くなりすぎて、途中で自暴自棄になり、ガマンしていた分まで思い切り食べる。そしてリバウンドする。『失敗の連鎖』の典型例だ。」
 うーん、あまりにも英語学習と似ている。英語学習においては一刻も早く効果をあげたいから、次から次へと出てくる新しい学習法を試し、たとえそれが自分に合っていなくてもガマンする。そしてやがて辛くなりすぎて、「もう英語なんてや〜めた!」となってしまう。結果として、自分は英語が上達しないという挫折感だけが残り、また新しい学習法を試しては失敗してしまうのだ。
 たとえば、日ごろ映画を見ない人が「映画で英語を上達!」系の教材をやっても、決して楽しめない。あるいは、仕事でクタクタになって帰宅して、とりかかる英語教材がシリアスなニュース英語だったら?あまりにも重すぎる。普段日記をつける習慣がないのに、「そうだ!やっぱり英語で日記をつけなきゃ!」と思っても、おそらく続かないだろう。そうして失敗だけが連続してしまうのである。つまり、英語学習もダイエットとまったく同じなのだ。
 岡田氏によれば、まずは食べたものの記録をとること、そして一日に必要な総カロリーを計算し、その範囲内で三食とおやつを収めるようにと説いている。実はこのやり方、私には合っていた。その理由は三つ。
 まず、記録作業が好きであること。普段から仕事上、わからない単語があればメモしたり、仕事の日程を紙に書いたりと、「ペンを持って書く」という作業はいとわない。むしろ書くことは大好きだ。メモしないと忘れるたちなので、「とりあえず書く」のが苦にならないのである。よって今回も、食べたものを書き出すことは、普段の備忘録の延長であった。
 次に、調べものが好きなこと。今まで食事をしても、各メニューのカロリーがどれぐらいかなど、考えたこともなかった。これまでは「おやつを食べると太る!だから食べちゃいけない!」と自分をストイックに制しつつ、でも誘惑に勝てずに食べてしまい、「あ〜あ、またやっちゃった・・・」と自分を責めていたのである。しかしカロリーの本を買って読んでみると、意外な発見がたくさんあった。たとえばドーナツがご飯3膳分あるとか、ピザ一切れがご飯1膳よりも高カロリーとか。カロリー勉強というのは、好奇心旺盛な通訳者に向いているかもしれない。
 最後の理由として、自分で好きなものを食べて良いという点。岡田氏は著作の中で、「ガマンはしない」と繰り返し述べている。先に述べたとおり、私は今までガマンの連続で、職場へもお弁当を持参し、コンビニは誘惑の元と敬遠していた。でもこの本によれば、総カロリー自体を減らすことを考えつつ、ガマンはせず、自分の体が求めるものを食べるようにとある。そこで、食事の記録をとるにつれて、自分が「今」何を食べたいのか、冷静に考えるようになったのである。
 現に先週金曜日は午前中、家で翻訳をしたあとスポーツクラブへ。運動後、今日のお昼は何が食べたいか考えてみた。頭に浮かんだのは「黒酢」と「シリアル」。完全に直感で出てきた答えである。科学的な理由があるのかもしれないが、それはさておき、帰り道、黒酢ドリンクとシリアルを購入し、帰宅してからそれを昼食とした。食べたいものが食べられて大満足!そうか、要はガマンが一番のストレス。だから、ストレスさえためなければ、きっと先は見えてくる、と思った。
 今回のダイエットはまだ始まったばかり。だが、とりあえず、今までガンとして落ちなかった1キロが落ちたので、本当にうれしい。あとはこれを楽しみながら続けることだと思っている。

Written by

記事を書いた人

かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

END