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どっちがおトク?

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 プリンタが壊れた。
 思えばこのプリンタも、わが家に来て5年目。最近は家電も5年ほどで壊れるというから、そろそろ寿命なのかもしれない。とはいえ仕事で使う機械なので、あっさりあきらめるわけにはいかない。
 印刷すると一部のインクがかすれるので、マニュアルをまずはチェック。Q&Aの箇所に対処法がちゃんと出ていた。ふむふむ、パソコンから操作して何度かヘッドクリーニングをするらしい。やってみること数分。完了後、テスト印刷をしてみた。
 しかし、まだダメである。これでダメなら、強力クリーニング方法もあるという。しかしこちらは大量にインクを消費するらしい。先日インクカートリッジを取り替えたばかりなのだが、やってみた。所要時間5分とのこと。さっきまで満タンだったインク残量は、あっという間に「残りわずか」を表示している。
 最近はただでさえプリンタ使用が多い。たとえば仕事の資料。以前は宅配便で送られていたが、今やPDFで大量に届くので自宅で印刷する。よってインクの消費も激しい。しかもインクカートリッジは高い!これも通訳料のうちとはいえ、結構な額だしなあ・・・などと考えていたらクリーニングが終了した。
 が、テスト印刷をしてもやはりかすれる。どうやらこれは本格的な故障のようだ。早速、カスタマーセンターへ電話してみた。
 担当者の話によると、修理代が約7500円、往復送料が1600円ほどで、合計約9000円。修理期間は5日なので、その間プリンタ使用をガマンすれば何とかなりそうだ。では、修理をお願いします、と私は言った。
 「お客さま、ご参考までにお伝えしたいんですが、」と担当者。
 「実はここのところ、プリンタ価格もずいぶん下がっておりまして、量販店さんですと、先ほどの修理料金を下回る価格で販売中なんです。いかがいたしましょうか?」とのこと。
 うーん、私は困ってしまった。今のプリンタはだいぶ経年劣化しているし、減価償却も十分したしなあ。せっかくだからプリンタ相場を調べるのも良いだろう。
 ということでいったん電話を切り、パソコンで検索してみた。すると、あるわあるわ。同じメーカーの上等機種が最安値で約7000円!機能も上がっているし、きっと省エネ仕様になっているのだろうなあ。色々と考えた結果、ネットショップで購入することにした。
 商品が到着したのはその2日後。今までの機種とは違って、本体もオシャレなメタリックブラック。デザインもシンプルだ。今まではメール、ホームページ、仕事の資料しか印刷しなかったので、これから写真や封筒印刷もやってみようとワクワクする。
 ところがプリンタが届いたものの、連日忙しくて梱包を開ける暇がない。セットアップするには時間もかかるし、今までのプリンタを取り外して配線も直さなければならない。まとまった時間ができるまで、新商品はそのまま書斎に放置された。
 ようやく仕事がオフの日、プリンタの設置にとりかかる。箱を開けて、梱包材を捨て、古いプリンタの配線を取り外し、新しいプリンタとつけかえた。マニュアルを見ながらCD-ROMをパソコンに入れて、インストール開始である。承諾書なるものを斜め読みして「同意します」をクリックし、「次へ」のアイコンを押す。ちなみに承諾書に「同意しません」としてしまうと、インストールはできない。この「同意しません」のアイコンは何のためにあるのだろう?
 何段階かを経てテスト印刷も終了し、無事プリンタは設置された。印刷速度も早く、紙も一度に100枚まで搭載できる。私としては大いに納得する商品と言えそうだ。
 しかし、ハタと考えた。カスタマーセンターへ電話してから早1週間。新しい商品は設置できたものの、古いプリンタの処分方法を考えねばならない。しかも手元には、大量の予備インクカートリッジが。インク切れでもあわてないようにと、つい先月、まとめ買いしていたのである。ちなみに新プリンタは、同じメーカーではあるものの、カートリッジは別タイプである。
 あー、いったいどっちが良かったのだろう?安く新プリンタを入手するのと、手持ちのものを修理して大事にするのと。新プリンタ設置にかかった「マニュアルを読む時間」「インストール時間」も合算すると、もしかしたら修理していたほうが、おトクだったのかもしれない。

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記事を書いた人

かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

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