ゆるやかな時間
仕事柄、時間にシビアになるせいか、時間管理の本には興味がある。今年に入ってからも数冊目を通した。私の場合、家のことや子どもたちのこともあるので、いかに効率的に時間を使うかというのは、大いなる課題なのだ。
しかし子どもたちを見ていると、子どもには「子ども時間」があるのだなと思う。親としては、自分でできることは自分でやってほしい。特に朝の忙しい時間帯など、食事や着替え、幼稚園の用意などは子どもたちで準備してほしいと期待してしまう。
我が家の場合、息子は年長組なので、こちらの言うこともほぼ理解できるようになり、行動も早くなった。一度に二つぐらいのことを頼んでも、こなせるようになっている。一方、4歳の娘は昨年、年少組に入ったばかり。本人の話す言葉も、去年のことを「昨日」と言うなど、言語力は発展途上だ。手先もまだ器用ではないので、素早い行動はできない。私としては「もう幼稚園に入ったのだから」とつい多大な期待をして、支度ができることを望んでしまうのだが、いかんせん、生まれてまだ4年しかたっていないのだ。
しかも二人に共通しているのは、物事をやっていても、ついほかのことに目移りしてしまう点。たとえば一生懸命、お弁当をナフキンに包み、鞄に入れようとしていても、周りのおもちゃが目に入ってきてしまう。気がつくと兄妹の間で「ねえねえ、今度レゴブロックのどれがほしい?」とカタログを見ながら品定めしている。あるいは、今日はどの空き箱を幼稚園に持っていこうかと真剣に悩んでいる姿も。私は内心、「電車の時間に遅れる〜」とジリジリしてしまう。
しかし子どもたちにとっては、目に入るものすべてがまさにワンダーランドの世界なのだ。大人になると、日常の光景に感動することは減ってしまうが、子どもは五感を使い、すべてに敏感になっている。自分たちの生きている世界そのものが、キラキラ光る魅力的なおもちゃなのかもしれない。
日々の生活を回さなければいけない私にとって、スケジュール管理や隙間時間の活用など、使える時間はとにかく有効に使いたい。しかしその一方で、「ゆるやかに過ぎる時間」というものに目を向けることを、私は忘れてしまったのかもしれない。時間管理とは対極にある子どもたちを見て、そんなことを最近思っている。