優先順位をつける
現在子どもたちは6歳と4歳。おしゃべりが大好きな盛りだ。朝起きると身支度そっちのけで話しかけてくるし、夕方、保育園に迎えに行けば、一日の出来事をずっと報告してくれる。入浴中も、夕食時も、感じたことや空想のお話など、とにかくひたすらしゃべる。そうした日々の会話から子どもたちの成長が見られるので、私にとっては大きな喜びだ。
しかし、私自身、大きな会議が控えていたり、執筆のネタを決めなければいけなかったりするときもある。たとえば朝など、表向きは子どもたちの話に一生懸命耳を傾けているつもりだが、心の中は段取りを決めるので精一杯。「朝ご飯食べさせて、仕上げ磨きしてあげて、お皿洗って、お弁当袋を詰めて」と子どもたちの支度を考える一方で、「会議資料、かばんに入れたかチェックしなきゃ」と頭は準備モード。「あ、そうだ!エッセイのネタは、これにしよう!」と急にひらめくこともある。そういうときに限って「ねーねー、キティちゃんがね、○○してね、で、××したの。そしたら△△になって・・・」と全然違う言葉が耳から入ってくる。「うん、うん、そうだねー」と言いつつ、「さっきのネタ、忘れないようにしなきゃ!」と必死だ。
それで最近は、優先順位をつけることを心がけるようになった。以下の3段階に分けてみたのである。
1.¥¥t自分一人でじっくり取り組むべきもの
2.¥¥t背後に子どもたちが騒いでいても取り組めるもの
3.¥¥t子どもたちと直接会話をしていてもできるもの
たとえば「1」の場合。これは私自身が静かな環境で集中する作業を指す。具体的にはアイデアの構想や執筆、下調べや資料の読み込みなどだ。一方、「2」は平日の夜や休日など、隣室で子どもたちがワーワー言っていてもできるものが対象。たとえばたまった新聞の斜め読み、片付け、掃除機がけなどである。「3」は実際に子どもたちとおしゃべりしつつ取り組めるもの。これは主に料理の下ごしらえで、野菜を切る、だし昆布をハサミで切って缶に入れる、お醤油の瓶を詰め替える、といった単純作業だ。
たとえば朝、子どもたちが起床時間を過ぎてもまだ寝ていたとしよう。私がやるべきことは朝食作りとお弁当作りだ。でも目の前には仕事の資料が。さあ、どうする?ここで私は自問自答する。「朝食作りは子どもたちが起きてきてからでも続けられる。でもこの静寂さは今しかない。今、一ページでもよいから読み進めておこう。」
というわけで、資料読みに取りかかるのである。その直後に子どもたちが起きてくれば、実際に読めるのは半ページに過ぎないかもしれない。でもたった半ページでも静けさの中で読めたというのは、私にとっては大いに助かることなのだ。
時間は無限にはないからこそ、こうして優先順位をつけて大切に使っていきたいと、思っている。