妙なイメージを持たれないと良いのですが……
家族で妻の実家に行った時に、妻が「新聞のテレビ欄を見たら、今日、通訳者が出るテレビドラマがある」というので、見てみました。「コールセンターの恋人」というドラマでしたが、いや〜これが、突っ込みどころ満載でした。
ザッと粗筋を申し上げますと……
通信販売をやっているテレビ番組において、デンマークで制作されたダイエットDVD(と思われていたもの)を売っていました。その販促に、DVDに出演している青年本人が、来日して出演します。
しかし、どうも番組に出ている日本人通訳者の挙動が不審です。この人物、DVDの翻訳も手がけているのですが、番組の進行に口を出すわ、画面前面に映るわ、思いもよらないことを言われて絶句するわ、DVDは適当に訳すわ、デンマーク人青年とつかみ合いのトラブルになるわ。
実はこの青年が作ったDVDは、ダイエット用ではなく、運動をして美味しいご飯を食べよう(だったかな?)とかいう内容だったのに、この日本人通訳者兼翻訳者が、適当に翻訳し、適当に通訳してつじつまを合わせていたのですが、ついにそれが本番中に破綻した、というお話です。
夫婦二人で、「ないない!それはない!」と突っ込みを入れながら、エンターテイメントとして楽しみました。
・通訳者が番組の進行に口を出す
→あり得ません。職掌分担が進んでいるというか、住み分けが出来ているというか、通訳者は「通訳」をするだけです。
・画面前面に映る
→あんなに目立つことは例外的でしょう。目立つべきなのは製品と製品の関係者です。妻が通販系のTV通訳をした際には、通訳の際に足を組んだだけで、ダメ出しが出たそうです。
・思いも寄らないことを言われて絶句
→これは、発生すること自体は良くありますが、あのように全然会話がかみ合わないことは、あり得ません。事前に打ち合わせをしておくはずですから、ダイエット用の製品なのに、その正反対のことを言われるということはないですし、あってはいけないことです。
・DVDの翻訳が適当
→翻訳は、後で何度も参照されるものですから、あんなにいい加減な訳し方はしません。少なくとも、ドラマであったように、コールセンターの従業員で、通信教育の教材で1年間デンマーク語を学んだ程度の語学学習者と、同じく従業員でデンマーク語が全く分からない素人が2人で徹夜したぐらいで発見できる誤訳などはあり得ないと思います。
私もドキュメンタリーの翻訳は何度もやりましたが、ディレクターなどが何重にもチェックするのが普通です。少なくとも、ダイエット用ではないDVDをダイエット用として訳せと言われたら、翻訳者側から「何か間違いがないでしょうか?内容が全く異なりますが」という声が上がるはず。
まあ、もちろんそれは分かった上で「ダイエット用」と銘打って売り出す、という「大人の事情」もあったりするのかもしれませんけれども。
・クライアントとつかみ合いになる
→ま、絶対無いとは言い切れませんが、わざわざ日本まで招聘するわけですから、来日以前の段階で自分が何のために呼ばれるのかは先方に伝わっているはず。それを承知で来るわけですから、あんなことにはならないのが普通です。
まあ、こういう突っ込みを入れるのが無粋なのは重々承知してますけれど、通訳者や翻訳者のイメージって、こんなもんなのかなあ、などと苦笑してしまいました。