パイプオルガン講座
朝食を取ってから、自転車で近くの芸術劇場へ。そこでパイプオルガン・セミナーが行なわれるので、妻と娘の3人で参加した。息子は興味がないとのことで、カギを渡してセミナーが終わる頃に合流させることにする。
セミナーそのものは、講師の大塚直哉さんの人柄もあって実に面白く、あっという間の2時間だった。以下印象的だったことを列挙。
・wind chest(風箱・かざばこ)から風を送り込む
・キーはオランダやドイツは低め。フランスは高め
・パイプの歌口をどれだけあけるかあけないか、などが職人の腕の見せ所
・本来教会には合唱団が複数(4つほど)あった。その合唱団を、リコーダーやオルガンで代用するようになった。→オルガンは人間の声に似た音になった
・キー(鍵盤)を押すことで、パイプに風を送り込むフタを開け閉めしている→誰が引いても同じ音になるわけではない。弾く人によってタッチが違う。丁寧に押せば、テヌートのような感じになる。逆に開閉の境目をクッキリさせることも出来る
・オルガンの外箱はオーク。中はマツ、モミなど
・閉管だと、音はオクターブ低くなる。これを利用して低い音を短いパイプで出せる
・オルガンは自然倍音列を利用している。つまり音の上に音を重ねて重厚な音を出す→重ねすぎると音がぼやける。多ければ良いというわけでもない
・大規模なパイプオルガンの演奏には、様々なキーやボタンなどの操作のために、アシスタントがつく→自分も演奏できるぐらいの技量がないとアシスタントは務まらない。
・フランス人は、なるべくオルガンを1人で操作できるように、コンピューターなどを使って自動化している
・大きなパイプの中は、気をつけないとネズミなどが入り込んでそのまま死んでいることも。音が変化してしまうので要注意
・パイプは鉛と錫の合金。ある配合で「スポット」と呼ばれる斑点が出来る
・絶対音感は音大受験には有利。しかし、オルガン演奏家は様々なキーで演奏しなければならないので、絶対音感が邪魔になることもある
・オルガンは2千年前からギリシャにあった楽器
・16世紀から17世紀にジルバーマン、シュニットなどの名匠が存在した。
・オルガンの作成には様々なギルドの免許が必要だった。金属加工の免許、建築の免許、木工の免許などなど→金属加工の免許に関しては、武器の生産にも関わるものなので、そう簡単には取得できなかった
・パイプオルガンのパイプは数百年はもつはずなのだが、近年排気ガスで腐食し、サビのようなものが出来てしまった例もある
・オランダは重くゆっくり弾くのが主流で、ドイツは早弾きが主流→ドイツはオランダの奏法を「鈍い」、オランダはドイツの奏法を「ちょこまかしている」と感じがち
・空間に音を満たす→プランジュ?技法名失念
・大塚さんは、アムステルダムの、カトリックの隠れ教会にあるパイプオルガンが好み
・大塚さんのオルガンの先生は、妻が子供のときにオランダ在住していた際の、音楽の先生だった
その後芸術劇場の外で一家4人で弁当を使って帰宅した。
帰宅してからいろいろあったのだが、終わりよければすべてよし。
このブログを慌てて書いていたら、NHK-FMの「バロックの森」で、大塚さんがパーソナリティーをやっていたのでビックリした。うーむ、シンクロニシティー。