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悲しみではなく、感謝

工藤浩美

工藤浩美の東へ西へ

アンディエルのいない世界は、毎日いつもと変わらない朝を迎えています。マリーは我が家では「ディエル君」と呼ばれているニトリで買ったぬいぐるみに一日中寄り添っています。アンディがとても好きだったぬいぐるみです。汚れてきたので洗濯しようかと思いましたが、なんだかアンディが宿っている気がして、洗えないでいます。

 時々マリーはアンディを探しているようです。お風呂を覗いたり、この前は灯りを落とした寝室をじっと見つめていました。

「アンディがいるの?」と声をかけたら、マリーは私たち見上げてさっと走り去っていきました。その瞬間なぜか私たちは全身に鳥肌が立ちました。きっとアンディがマリーを追いかけて横を通ったんだと思いました。

 ずっと一緒に住んでいるとアンディの考えていることは大体分かるようになったのですが、旅立つまでの数週間ははっきりアンディの声が聞こえました。そしてこの不思議な体験を沢山の愛犬家の方が経験している事を知りました。友人の励ましと鋼のメンタルで、時々涙することはあるけど重篤なpet lossにもならず、過ごしています。

 治療は辛くなかったのか?本当にこれで良かったのか?悩んだ時期もありました。でも余命宣告されてからの11ヶ月間、一緒に写った写真を見直すと、そこにはアンディの沢山の笑顔がありました。アンディは幸せにその日を迎えたんだと思うことが出来ました。在宅勤務が増えて残された日々を今まで以上に一緒に過ごすことが出来きました。私が旅立ちに立ち会って、最初に感じた感情は「悲しみ」ではなくて「感謝」の気持ちでした。

落ち着いたら寂しがっているマリーの為にも、アンデエルJr.をお迎えしたいと思っています。

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記事を書いた人

工藤浩美

白百合女子大学国文科卒業後、総合商社勤務。
その後通訳・翻訳エージェントに2社、合計11年間勤務。通訳コーディネーターとしてこれまでに数百件の通訳現場のサポートを行なう。 2001年7月に株式会社テンナイン・コミュニケーションを設立。趣味はシナリオ執筆。

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