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譲れない最低ライン

工藤浩美

工藤浩美の東へ西へ

フリーランスの通訳・翻訳者は、どんな仕事でも、どんな条件でも仕事を引き受けるかというと、それは違います。

質の高いパフォーマンスをするために、仕事を受ける際に譲れない最低ラインを自分の中に持っています。

例えば2時時間以上のウィスパリングは一人で受けないとか、1日20枚を超える翻訳を一人では受けないなど、それは最終的にはお客様の利益を考えてのことです。

ブレない姿勢は、仕事をする上では必要です。
そういう譲れない最低ラインを持っていたとしても、私たちコーディネーターの印象は「いつも柔軟に対応してくれる。いつも気持ちよく仕事を引き受けてくれる」と感じさせる人と、「絶対にこの条件じゃないなと受けてくれないだろうな?聞くだけ無駄かもしれない」と思わせる人にいるのです。

柔軟な対応と、相手の気持ちをきちんと汲み取っているかどうかの差なのかもしれません。

パフォーマンスが保証できない仕事を受けないようにしているのは、実は私たちコーディネーターも同じです。

何とかお引き受けできるように最大限に調整し、時間をかけて努力し、ご協力をいただきますが、それでも譲れない最低ラインを守っていただくのが、難しいケースもあります。

そういう時はお客様に私たちから「断られた」と思われずに、「今回はお願できなかったけど、また次に必ず声をかけます」と明日に繋がるような断り方するようにしています。

まずお客様の事情をきちんと理解する。
そして一応こちらの要件をネゴシエーションしてみる。

歩み寄りには、高いコミュニケーションスキルが必要なのかもしれません。歩み寄りというより、臨機応変な柔軟な対応という表現が一番近いかも知れませんね。

コミュニケーションは本当に難しい。

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記事を書いた人

工藤浩美

白百合女子大学国文科卒業後、総合商社勤務。
その後通訳・翻訳エージェントに2社、合計11年間勤務。通訳コーディネーターとしてこれまでに数百件の通訳現場のサポートを行なう。 2001年7月に株式会社テンナイン・コミュニケーションを設立。趣味はシナリオ執筆。

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