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黒字倒産の危機
社外取締役のY氏には「おままごと経営」とよく言われます。最近は「おままごと経営の割にはよく成長している」と少し褒めていただけるようになりましたが、企業当初は手探りで、一つ一つ現場で学んでいく毎日でした。
2001年7月に起業して、7月の売上は0円、8月60万、それがなんと9月には800万になり12月は月2000万の売上がありました。それを私と取締役の渡邉、後アルバイト2名で調整していました。当時渡邉は子供の保育園のお迎えがあって勤務は17時まで、17時以降夜中まで私は一人で毎日仕事をしていました。それでも仕事量が多い時は追い付かなくて、2001年12月、ある大手取引企業の請求書の提出が遅れてしまい、クライアントからの通訳料入金がひと月先に伸びてしまいました。通訳者への支払金額のトータルは800万ぐらいでした。
当時会社に残っている現金と私の貯金をかき集めて、ギリギリ800万円集めて振り込んだ記憶があります。私個人の口座残高は14万円でした。さすがに22歳で大学を卒業してから38歳までずっとフルタイムで仕事をしてきて、残高14万円というのはなんだか情けなく、通帳を手に悲しくなったのを覚えています。ふと頭の中に「黒字倒産」という4文字が浮かびました。もしも翌月も入金されなかったらどうしようと不安になりました。
結果問題なく翌月入金されたので無事に乗り越えたのですが、この経験でキャッシュの大切さを身に染みてよく分かりました。それ以来19年間一度もキャッシュが回らないという経験はありません。資金繰りの苦しさをほとんど味わっていないので、本当の経営の苦労をしていないのかも知れませんね。