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涙が枯れるほど泣いたわたしが出会った宝物のような本

ハイキャリア編集部

拝啓!通訳・翻訳者の皆様へ

生きていると、別れを経験します。離別、死別、別れのかたちは様々ですが、大切な人を失うという経験を乗り越えるのは簡単なことではありません。

「悲しみを乗り越える」というトピックで様々な本を読み漁っていたときに、自分の感じていた悲しみを、ものすごく的確に、そして、苦しいほど美しく表現してくれる本に出会いました。それが、The Alphabet of Griefです。

大切な人の温もりを失って

The love we share warms our hearts and ignites our spirits. When they die, it’s like they have rolled out of bed, taking the covers with them. We feel a chill. We reach for them in the darkness.

分かち合った愛は、心を暖めるし、火を灯してくれる。でも、彼らがこの世を去るとき、それはまるで、ベッドから抜け出ていってしまうようなもの。毛布も一緒に持っていってしまう。冷たさを感じるわたしたちは、手を伸ばす。暗闇へ。

 

いつもそこにいて、どんなことも分かち合える人だったから、その人がいない今、途方に暮れてしまう自分に気づきます。伝えたいことがあっても、その相手がいない。握りたい手が、そこにない。肩をそっと抱いてくれたときの温もりが、今はない。

そんな喪失感の中で、思いは宙吊りになってしまいます。「この話をしたら、誰よりも分かってくれるだろうなあ。」「このユーモアのセンスには、お腹を抱えて笑ってくれるだろうなあ。」でも、いないんだ。そう思うとき、手を伸ばした先の暗闇を感じてしまうのです。

 

心には心の時間がある

Even if we try to dig our nails into the last lingering moments shared with our loved ones, they will slip from our fingers and begin to recede into the past. This can be very scary. We are forced to move forward in time, but it doesn’t mean we are moving on emotionally. The heart has its own time.

愛する者と過ごした時間、消えていきそうなその時間にすがるように、この手でつかもうとするけれど、指からこぼれては、過去へ過去へと遠ざかってゆく。これには恐怖を覚えるけど、わたしたちは時間とともに前へ進むことを強いられる。でも、心も前に進めるかと言えばそうでもない。心には心の時間がある。

 

喪失感にいつまでも浸っていてはいけない。そう自分に言い聞かせて、前に前に進んでいこうとするのですが、頭は分かっていても、心はついていけないときがあります。

時間が経てば経つほどに、その人のいない日常が当たり前になっていく。あたかも最初から存在していなかったかのように。

そんな恐怖を感じて、自分の心の中でだけでも、確かな存在として留めておきたいと、必死に思い出のかけらを集めたりもするのです。

「永遠というものがあるのなら」そう願いながらも歳月は過ぎ、心だけは新しい日常に慣れずにいる。手を引かれ急かされる子どものように、後ろを振り返りながら、生きていくしかないのかもしれないと思ったりします。

ふとしたきっかけで面影が蘇り、涙がバシャーっとこぼれたりすることがありますが、その涙が、ホコリをかぶりかけていた思い出の宝箱を洗い流してくれる気がして、泣くことが好きになりました。涙って、枯れないものなんですね。

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ハイキャリア編集部

テンナイン・コミュニケーション編集部です。
通訳、翻訳、英語教育に関する記事を幅広く発信していきます。

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