今年4冊目の読書:SHE SAID
こんにちは。
今週はアカウントグループからお送りします。
ここ数年、毎月少なくとも1冊は本を読むという目標を立てて実行しています。
今年は順調に4冊目まで読み終わりました。
4冊目として読んだのが、『その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたち(原題 She Said: Breaking the Sexual Harassment Story That Helped Ignite a Movement〜)』というノンフィクションの作品です。
この本はタイトルの通り、#MeToo運動が広がるきっかけとなったハリウッドの映画プロデューサーハーヴェイ・ワインスタインの記事を報道したニューヨークタイムズの記者二人が当時の調査報道の裏側をメインに描いています。
報道の影響の大きさやワインスタインの顛末をすでに分かっていながらも、被害者を探し出して、その中から少しでもオンレコで話してくれる協力者を見つけていく困難な調査過程や、記事を出させないように画策するワインスタイン側の妨害工作などもあり、本当に報道することができるのだろうかとハラハラしながら読みました。
報道の舞台裏がかなり細かく描写されているので、まるで当時の記者たちの動きを追体験しているように感じられます。
綿密な取材と調査手法を行いながらも、被害者をしっかり守り寄りそっているのがとても見事でした。
一方で淡々とした筆致ではありますが、被害者女性たちの葛藤や恐怖、不安感もとてもよく伝わってきて、彼女たちがいかに勇気をもって、大きな決断をしたのかということがよく分かります。
後半はブレット・カバノーが最高裁判事に指名された際の告発について書かれていますが、運動により変化したものがありつつも、まだ乗り越えられない様々な障壁が存在するといった現実も突き付けられます。
それでも最後の章で、告発をした女性たちが集まってインタビューを受けるシーンにはお互いの連帯と今後の希望が感じられてとても良かったです。
すでにキャリー・マリガンとゾーイ・カザン主演で映画化が発表されているので、そちらにも注目していきたいです。
TBSラジオの過去の番組で、翻訳された古谷美登里さんがお話しされているのもSpotifyで聞けますので、ご興味がある方はそちらもぜひ。