形容詞を羅列するときの順番とは・・・
今週は通訳部よりお送り致します。
初めて投稿します。昨年9月から働きはじめ、もう半年になります。
通訳者になることを目指しています。
先日知り合いの先輩通訳者さん(Mr. BB)と、あるツイッターの投稿について議論をしました。
これはいわゆる「形容詞の順番」に関する問題でした。
例えば日本語で、「大きい」「丸っこい」「黄色」という形容詞で犬を表す際に、これら3つの形容詞をどう並べ替えるかという問題です。
「大きな丸っこい黄色い犬」なのか「丸っこい黄色い大きな犬」なのか…。
このツイッターの投稿では形容詞の順番は以下のようになるというのです(あくまでも英語圏での話ですが)。
すなわち、「(意見→大きさ→新しさ・古さ→形→色→起源→物質→目的)+名詞」。
例として、ナイフを形容するのに以下のように並べ替えています。
A lovely little old rectangular green French silver whittling knife.
「可愛らしい(意見)、小さな(大きさ)、古い(古さ)、長方形の(形)、緑で(色)、フランス製の(起源)、銀でできた(物質)、削るための(目的)ナイフ」となるようです。
ツイッターのコメントを見るに、この形容詞の並べ方について多少なりとも前後する意見はあるものの、大多数の人が賛同している様子でした。
しかしこのルールに対しては明確な理論的説明はなされていないようで、みんな「何となくそうだよね」と、自然に共感を示している様子でした。
ではどうしてこの並び順が普遍的なルールとして、「何となく」みんなが合意するものになっているのか。
以下はMr. BBに長文で返信した自分なりの考察です。
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形容詞というのは何か物質・人を説明するための言葉。言葉は本来コミュニケーションのために使用されてきたものですから、コミュニケーションがより効率的に機能するためにある程度の合理性を持っているのではないか。
とすれば今回の形容詞の並び順についても、「何となく」みんなが合意するようなルールでもそこにある程度の合理性はある。
例えば、森で生活している原始人がある時、木によじ登っていて突然遠方から大型のマンモスが来るのが見えたとする。ここで彼は下にいる大勢の仲間たちにそのマンモスの様子を伝えなくてはならない。そうするとまず第1声に出てきそうなのは「彼がそのマンモスについてどのようなものと認識しているのか」という非常に主観的なところから出発するのが自然かもしれない。例えば「とても危険そうな」など。これが「意見」の部分ではないでしょうか。そしてやはりマンモスが大きいということを伝えるのも大事なので「とてつもなく大きい」なども最初の方に出てきそうな言葉…。
というような具合に、特に危険そうな物体と遭遇した場合、まずはぱっと見で瞬間的に判断を下さなくてはなりませんから、主観的でもその物体の全体図が分かるような形容詞が先にくるのではないでしょうか。そしてだんだんとその物質に近づいていき、分析して細かいことが分かってくると「起源・物質・目的」などのより客観的詳細が見えてくるはず。
だから形容詞がこのツイッターのルールでみんな何となくも賛同するのではないか。
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という感じです。
言語学を学んでいたわけではありませんし、全く科学的根拠の無い話ではありますがこういうことを考えるのは何となく面白いです。
皆さんはどう思われますか。